第52話 可愛いだろ?
刺客の襲来から数ヶ月経ったが、あれからは平和そのものである、学業も滞りなくこなし学生生活は順調だ…
なのだが…あれからアンの態度がどこかよそよそしい…怖がらせてしまったのかと思い、ヴァニタスとシルに聞いてみたが
「お前…マジか…苦労するな…」
「あんなにわかりやすいのに…アークってダメね」
ひどい…一体、なんなんだ…
あと、アンとアメリア、アルの仲も良くなったようだ…よく一緒にいる所を見かけるようになった、ちょくちょくシャルも混ざっているが…仕事はいいのか、理事長…
そんな平和な学生生活を送っていた僕らは今
「もうすぐ着くわね…お師匠、ちゃんと部屋片付けてるかな…」
「帰って…来た…です」
「楽しみですね!」
「そ、そうですね…はぁ」
「緊張しすぎたろ…」
僕の実家である、ルグウィン公爵家へ向けて馬車に揺られていた
この学園にも長期休暇がある…まぁ所謂、夏休みだ…その為、実家へと帰省する生徒がほとんどだ
僕も帰省するのでアメリアとアル、そして卒業後、ウチに住む事になったアンとヴァニタスも連れてきていた、何故かシャルまで着いてきていた
父上に手紙でアン達の事を伝えたら、二つ返事で了承をくれた、手紙には『アークの友人なら歓迎だ』とあった…よかった…
学園から公爵家までは街の反対側にあるがそれほど時間をかけずに、僕らは帰ってきた
「アークちゃーーーーん!!!おかえりなさーーーい!」
サッ!
着いた途端に母上が、飛びついてきたので咄嗟に躱す
「もう!どうして避けるの!アークちゃん!半年ぶりの親子の再会よ!」
「母上…他のみんなもいるのですから、勘弁してください…ただいま…」
「あら、ごめんなさい…ゴホン、初めまして…アークちゃんの母のエレナです、アークちゃんがお世話になってます、ようこそおいでくださいました、アメリアちゃんとアルちゃんもおかえりなさい」
「ア、アンゼリカ・ノア・ワールです!お世話になります!」
「ヴァニタス・ノア・ワールです、宮廷魔導師団長にお会いできて光栄です」
「お初にお目にかかります、アストレア魔法学園理事長シャルティア・エメロードです」
「ただいま戻りました、お義母様」
「ただいま…です」
母上と皆が挨拶を交わす
「戻ったか、アーク」
「父上!ただいま戻りました」
「うむ、少し背が伸びたな」
父上が僕の頭を撫でる…そして
「アンゼリカ殿下、ヴァニタス殿下、シャルティア理事長、ようこそ…ルグウィン公爵家当主アドルフ・ルグウィンです」
父上が母上と同じように皆に挨拶していると
「お兄様!お帰りなさい!」
「ウォン!ウォン!」
「エステル!フェル!」
妹のエステルをフェンリルのフェルが背に乗せこちらにかけてくる、よく見ると後ろには慌てて追いかけているメイが見える…あまり困らせてあげないでね?
「2人とも大きくなったな!」
エステルは少し背が伸びて、フェルは随分大きくなった、子犬程度だったのにエステルが乗れるくらいになってる、半年でここまで大きくなるとは…まぁ、フェンリルの大人はかなり大きいからな…
「お、おい…アーク…そいつ、フェンリルか?」
「あ、うん…そうだけど、襲ったりはしないから安心していいよ、凄くいい子だから」
「いや、いい子って…神獣だぞ…」
「凄いです!流石、アーク様!」
「可愛い…な、撫でてもいいでしょうか…」
「おい!アン!」
「大丈夫だよ、フェル!…さ、アン」
僕はフェルを呼んでアンの手を取りフェルに近寄る
「「「むぅ」」」
なんかむくれてる大人達がいるけど…
「わぁ、毛並みがふわふわ…フェルさん、よろしくお願いしますね」
「ウォン!」
「エステル、こっちにおいで…この人はアンゼリカ、学園を卒業したらこの家に住むからよろしくね、あっちはヴァニタスだよ」
「あ、始めまして、エステル様、アンゼリカと申します、アンと呼んでください」
「ヴァニタスだ、よろしくな、エステル嬢」
「アン姉様に、ヴァニタス兄様?よろしくお願いします!」
「か、可愛い…」
「…天使か?……」
分かるよ…うちの子たちは可愛いでしょ?
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