第45話 いくよ?


今日はシルとの特訓にヴァニタスが参加する日だ…因みに、シルにその事を話すと


「ヴ、ヴァニタスって確か、帝国の皇子じゃ……むりむりむりむりむりむりむり……」


壊れた…顔色が青くなっていたが大丈夫かな?


その日の放課後…


「は、初めてまして!シルと申します!ヴァニタス様にはご、ご機嫌麗しゅう存じましゅ!」


あ、噛んだ…シルは真っ赤になっているとヴァニタスが笑いを堪えているのか、震えている…


「くくく、いや、すまない…こんなベタな事をする奴がいるとはな…くく、しかも噛むとは……ここは身分の関係もない学園なのだろう?ならアークに接している様にして欲しい」


「え、で、でも…」


「シル、ヴァニタスは畏まったりされるのは苦手なんだ」


「わかった、今日はよろしく…ヴァニタス?」


「あぁ、それで構わない」


「じゃあ、紹介も終わったし、始めようか」


それから始まった特訓は少し騒がしかった


「おい!どうして上手くいかない!」


「もっと集中して、2つの魔力を常にコントロールするんだ!」


「2つ同時なんてどうやるんだ!」


「アーク!見て!竜巻を3つ作れたよ!」


「凄いな!シル!でもまた魔力切れにならない様に気を付けてね」


「おい!無視するな!どうやっても魔力が混ざるぞ!」


「ヴァニタス、それぞれを独立して動かしてみよ」


「その方法を詳しく言え!」


「えーと…僕が最初に教わったのは2つの属性をそれぞれの手で同時にコントロールする様にって事なんだけど、右手と左手を別々に動かす感じ」


「右と左……む……んんん〜…お!…出来たぞ!」


「うそ!もう出来たの!?」


「なるほど一度できれば、感覚がわかるな…こうか?」


ヴァニタスはもうコツを掴んだのか複数の竜巻を同時に展開している


「流石、ヴァニタス…一度掴むと余裕だね」


「しかし、これは面白いな…よくこんな方法を思いつくものだ、お前の師匠とやらは…一体、何者だ?」


「私も知りたい!アークの師匠!」


「悪いね、師匠の事は口止めされてるんだ」


「…そうか…まぁ、俺は技術さえ得られればいい」


「ヴァニタス〜本当は知りたくてしょうがないくせに〜」


「うるさい、シル…お前…」


「ははは、じゃあお詫びとして少し見せるよ」


「見せる?一体何を?」


「僕の力を…知りたかったんでしょ?」


「あ、あぁ…」


「いくよ…シル、魔力を全身に回してしっかり気力を上げて」


「え?わ、わかったわ」


僕は結界を張ってから、魔力を練り上げる…最大限に


「な、なんだ…なんなんだ…この魔力は……」


「はぁ、はぁ、…」


そろそろ、シルが限界だ…僕は魔力を抑える、するとシルは腰を抜かした、ヴァニタスもまだ顔を強張している


「ふぅ…どうだった?僕の力を目の当たりにした感想は」


「こ、こんなの…アークって…やっぱり、凄かったんだ…

「………魔力量もおかしいが、なんというか…質……そう、質が違う…お前の魔力は重く濃く、それでいて洗練されていた…どうやってあれだけの魔力を……」


「シル、その言い方だと普段僕をどう思っているのかな?ヴァニタス、それは言えないね、教えたら絶対やるだろうし…君は……これは、個人の魔力量で決まるし、もっと小さい頃からやらないといけない方法だから、もう僕らの歳から始めると最悪寝たきりになるよ」


ヴァニタスは納得していない顔をしている…今のは嘘だ…でも、言うわけにはいかない…あの事だけは、誰にも言っていない、師匠もアメリアも知らない……これからも誰にも言うつもりはないのだから

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