第43話 分かるよね?


身に起こった幸運?不幸?な出来事から目を覚ました僕に待って居たのはお説教だった…2人とも理由を説明したら余計に怒り出したし…なんでだよ…


……綺麗だったな…


「アーク!何ぼさっとしてるのよ!ちゃんと見てて!」


「はっ!ご、ごめん…シル」


「もう!今、上手く出来てたのに…もう一回行くわよ、今度は見ててよね」


そう言いシルは、両手に魔力を集め、小さな竜巻を起こしその中心に火を付ける…竜巻に火を巻き込まない様にする魔力コントロールの特訓だ…少しでも竜巻に火が触れると風に巻き込まれて火の竜巻になってしまう…複合属性魔法は割と出来る人は多いが…あえて、複合させるタイミングをずらす事で戦闘においてはメリットもある


シルは戦闘の為に特訓しているわけではないが、魔力のコントロール上達はSクラスなら必須だ針に糸を通す様な精密さがあれば魔力を色々と応用できるしね


「どう!?もう5分くらいは維持できる様になったんじゃない?」


「うん、上達が早いね…やっぱり才能あるよ!シルは…じゃあ、次は10分を目指そうか!」


「もうそれいくらでも平気よ!見てなさい!」


と、余裕で意気込んでいたシルだが…30分程経つと…


「はぁ、はぁ、はぁ、………もう、動けない…」


魔力切れの様である…しまったなシルの魔力量を考えてなかった


「でも30分も維持できるなんて凄いよ!次は魔力量を増やす特訓をしようか」


「はぁ、はぁ……魔力って……増やせるんだっけ?…」


「うん、まぁ特殊な方法だから知ってる人はいないんじゃないかな?……明日は休んで明後日からにしようか」


魔力切れは次の日まで引きずるからね


「わかったわ…お疲れ様、私はもう少し休んでから戻るから……」


「あはは、ごめんね…回復魔法は全然で…」


「いいわよ、休んでれば動けるから…」


「了解…なら、飲み物でも持ってくるよ」


「………そのさりげない気遣いは美徳だと思うけど、誰にでもやらない方がいいわよ」


「?シルだからそうするんだけど?」


「ッ!バカ!さっさと行きなさい!」


「な、何怒ってるのさ…わかったよ…」


シルから離れ飲み物を買いに購買へ向かうとヴァニタスと遭遇した、どうやら彼も何か買いに来た様だ


「アークか、何か有り様か?」


「うん、シルに飲み物を持って行こうと思ってね」


「お前が良く一緒にいる、Aクラスのシルか…平民で魔法の技術も量もお前が気にかけるほどのものでもないだろ」


「そんな事で人を見たりしないさ、彼女っていう人を見て力を貸してあげたくなったんだ」


「……理解できないな、それでお前に何の利益があるんだ?」


「そんな物求めてないよ、僕がそうしたかっただけ」


「お人好し…と言うのか?お前の様な奴は」


ヴァニタスは呆れた様に言ってる、もう興味がなくなった様だ…彼が去ろうとすると僕は


「ヴァニタス、君も彼女の魔法を見て何かアドバイスしたからないか?」


「は?何を言ってる、何故俺がそん……な事……何だそれは…」


ヴァニタスは振り向き僕の方を見ると言葉をつまらす


僕は先程シルがやっていた、中心に火の玉を浮かせている竜巻を展開していた………数十個の竜巻を……


「これが今シルとしている特訓だよ、彼女はまだ一つしか出来ないけどね…それでも2週間足らずで一つはできる様になった…この意味がわかる?」


この特訓方法は師匠に魔法を学んでいた時に僕もやった事だ、複合属性魔法は同時に複数の属性の魔力を放出し混ぜ合わせる事で発動させる、別々の魔力は触れ合えば自然と交わる為に、使用者はそれぞれの属性の魔力を放出するだけでいいのでそれほど難しくはない、なので交わらない様に魔力をコントロールしなければ竜巻の風と火が混ざってしまうのだ、それはかなりの集中力と胆力がいる、彼ならこの特訓の難しさがわかると思った


「………さっきの発言は取り消す、彼女は優秀な様だな」


「うん、それに努力も出来る」


「………一度だけだ、代わりにそれのやり方を教えろ」


「勿論、構わないよ…ありがとう」


「礼は必要ない、俺はその特訓とやらに興味が湧いただけだ、さっさと行くぞ」


「今から?今、シルは魔力切れしてるから明後日からと思ってるんだけど」


「なら、明後日だな正午にここに来るから迎えに来い」


「了解、正午だね…シルにも伝えとくよ」


こうして特訓にヴァニタスが加わった



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る