第41話 力をくれる
「悪いけどそれは出来ない…」
「……私が何故、貴方のことを知っていたのか聞かないのですか?」
「聞いても答える気ないよね」
「……簡単に了承していただけるとは思っておりません、まだ私達は入学したばかり…あと3年あります…私はそれまでに貴方を落とさせていただきます」
「………アン…僕は勇者じゃない、少なくとも僕自身はそう思ったことはないよ…僕は自分の為に行動しただけなんだ…」
「そうでしょうか…まだ出会って数日…それでも貴方が勇者たりえると、私は感じておりますよ」
「アン…復讐は何も生まないなんてありきたりな言葉を君に送るつもりはない、それでも僕は君には違う人生を歩んで欲しいと思っている…」
「………優しいですね、ですがそれは無用です…私は既に決めてしまいました」
「僕達の歳で決めてしまうのは早計過ぎるよ…僕は止めるよ、君を…ヴァニタスに頼んでも君を止める」
「あの子を巻き込まないで!!!」
怒り、悲痛な顔でアンが叫ぶ
「………そんな顔もできるんだね…けど君はヴァニタスにとってなんだい?姉弟なんだろ?それなのに君のやる事が彼にとって無関係でいられると思うのかい?彼が無関心でいられるとでも?」
「あの子は私とは違う!あんな地獄でも優しい心を失わなかった…だから」
「アン!もっとヴァニタスの事を考えろ…自分の事を考えるんだ…君はまだ、間に合うんだ」
「………今日はこれで失礼します…いずれまた、お話をしましょう」
「わかった…アン、早まるなよ」
「ふふ、確約は出来ませんよ…では」
アンは部屋から出ていく…はぁ、復讐…か…止めたいけど彼女の心は荒んでいる…それでも、彼女にはヴァニタスがいる…孤独ではなかった筈だ
「なら、まだ希望はあるな…アンには悪いけどヴァニタスの協力が必要になるだろうな」
…まだ入学して2日目なんだけど…濃すぎない?もうお腹いっぱいなんだけど…シルのSクラスを目指す為の特訓、ヴァニタスの信用、アンの復讐…僕1人では手に余る…
「アメリア達に手を貸してもらうか…」
「呼んだかしら?」
「うぉ!ア、アメリア!?いたからここに!?」
アメリアがいつの間にか部屋に居た…どこから入ったんだ!
「勿論、テレポートよ?貴方の部屋はシャルから聞いて知ってたから」
「僕のプライバシー!!」
「私達の仲じゃない!それで?何を悩んでいたの?」
「全く…ヴァニタス達のことでね…アンが思ったよりも深刻で…」
ヴァニタスとアンの話をアメリアに説明した
「人間不信と復讐ね…大変ね」
「他人事だなぁ…手伝ってくれないの?」
「手伝うわよ…でも私が出来ることなんて、ほとんどないわよ?私は先生であの子達は生徒、大人として助言は出来るかもしれないけど、確信にはならない…それは貴方しか出来ないわ」
「それはそうだけど…はぁ、時間は掛かるだろうけどなんとかしてみるさ」
「うん!貴方らしく馬鹿みたいにぶつかってあげれば、きっと前に進めるわ!貴方はすごいの!私が保証してあげる!」
「……アメリア、ありがとう…」
「はぇ!あ、あの…」
僕はアメリアを抱きしめた…彼女はいつも力を
くれる…頑張れるって思う
「アメリア…好きだよ…」
「うぅ〜ま、まだ待って!」
「あはは、うん…ありがとう」
力をくれる愛おしい彼女の頬にそっとキスを落とした
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