第31話 鬼!
シャルからの手紙を受け一応返事を出しておいた…なるべく当たり障りない様な文章で…
アメリア達にもシャルの事は伝えてある…手紙の事は黙っているが…
入学への準備もほぼ終了して後は普段通りに過ごして待つだけだ…入学まで後1か月…少し楽しみでもある…友達できるかなぁ
学園は全寮制なので入学したら長期休暇以外では家に戻る事は余程のことがない限りない…3年皆とはなかなか会えなくなるな…その間師匠やアメリア、アルはどうするのだろう…
コンコンコンッ
「お兄様、失礼します」
エステルが扉を開けて入ってくる…エステルももう6歳だ…相変わらず本の虫で最近では師匠が持っている本を読み漁っている…そんなに読んで覚えているのだろうかと思ったが…前に師匠と難しい話をしていたのでそうなのだろう…我が妹ながら、この歳で師匠と議論を交わすとは末恐ろしい…
「どうしたんだ?エステル」
「実は今日の魔法訓練、私も参加させてもらいたくて」
「エステルが魔法訓練を?まだ早いんじゃないのかい?」
「軽い練習くらいなら大丈夫です!魔法の知識だけはもうお兄様よりもあるつもりです!!」
「うーん…母上と師匠が許可したらいいよ」
「本当!?やった!」
エステルは飛んで喜んでいる…こういう所は年相応だな
「なら、訓練場に行こうか」
「はい!お兄様」
2人で訓練場に向かうと既に師匠が待っていた…母上の姿がないが…
「師匠、お待たせしました…母上はまだですか?」
「来たな、エステルも一緒か?エレナは…お、来た様じゃよ」
「ごめんなさい〜遅れたかしら」
「いえ、僕達も今来た所です」
「ならよかったわ、エステルちゃん今日はどうしたの?見学かしら」
「お母様、ソロモン様私にも魔法を教えてください!」
「エステルにはまだ早いのではないか?」
「そうよぉ、アークちゃんだって10歳になってから訓練を始めたのに、貴方はまだ6歳よ?」
「ちゃんとした訓練じゃなくても良いので、やってみたいです!」
「…どうする?エレナ、この子は知識だけは確かにあるぞ…それは私が保証しよう、この国の慣わしでは10歳からの訓練が適切とされているが…この子の歳で魔法を使える子は割とおる…私は母であるお前が良いのであればかまない」
「そうですね、エステルはいい子なので勝手に1人で魔法を使うとは思えませんが…もしもがあると思えば、今使い方を教えておくのが安全かもしれませんね…いいわ、少しだけやってみましょか」
「わぁ!やったよ!お兄様!一緒に魔法が使えますね!」
「こら、エステルちゃん令嬢が飛び跳ねるものじゃありません…全く誰に似たのかしら…」
「お前じゃろう…私に魔法を学んでいた時にそっくりじゃよ、今のエステルは」
「そ、そんな昔の事は忘れました…さぁ!訓練を始めましょう…エステルちゃんはママと魔力を感じる所からやりましょうか」
「はい!お母様!」
「よし、私らもやるかの」
「お願いします、師匠」
今、僕がやっているのは師匠が作った金属製の大小様々な輪っかに魔力弾を打ち込む訓練だ…師匠が数十個の輪っかを浮かせ操り更に攻撃まで仕掛けてくる中、その攻撃を掻い潜り動き回る輪っかに魔力弾を打ち込み輪っかの中に通す…攻撃に当たらない様にして、小さな輪っかに狙いを定めるのは苦労するが、空間把握の感覚を広げるにはいい訓練だ
「ホレホレ、どんどん行くぞ!」
師匠は遠慮なく多彩な魔法を発動して攻撃をしてくる…やり過ぎたろ!当たったら怪我じゃ済まないぞ!全く!
僕は師匠の攻撃を躱し、防ぎ、打つを繰り返し続けた…
「ムムム〜…全然わからないですね…」
「そう簡単にはいかないわ…普通は魔力を感じるのも時間が掛かるのよ」
エステルが母上の流す魔力を感じ取るのに苦戦しているようだ…僕も初めては2週間くらい掛かったなぁ…懐かしい師匠との修行の日々……よく無事だったな
「余所見とは。余裕じゃの!!…更に倍にしてやろう、ありがたく思え!!」
そう言って打ち込んでくる魔法の数を倍に増やす鬼師匠…
「いくらなんでも多すぎですよ!師匠!」
「無駄口叩いとらんでさっさと動かんか!!」
日が暮れるまで師匠との訓練は続いた…
〜アストラル魔法学園理事長室〜
「お久しぶりですね…アメリアさん。アルシェールさん」
「お久しぶり…です…シャルさん」
「挨拶はいいわ…それより話…と言うより提案があるわ…」
「えぇ…きっと来ると思っていました……フフフ」
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