第27話 君のおかげ


「で?君たちは一体誰の家で、誰の許しを得てこんなことしてるのかな?」


僕は腕を組み目の前に正座するアメリアとアルに並々ならぬ圧を送っていた


2人の魔力を感じ取ってすぐにアメリアの部屋へと向かった…すると2人が今にも魔力全開で戦闘を始めようとしてる所を目撃した…このままでは余波で屋敷が吹き飛ぶ!そう思い師匠がこの前やっていた短距離瞬間移動を使い2人の間に移動双方の攻撃を止めて今に至る


「だって、いきなりアルが好き勝手な事言ってきて、挙句殴ってきたのよ!」


「それは…腑抜けていた…アメリアが…悪いの…です!」


「何よ!」「何…です!」


「いい加減にしろ!」


「で、でも!」「です!」


「2人とも自分の力を自覚しろ!こんなとこで戦闘だなんてもし人が巻き込まれたら無事じゃ済まないんだぞ!屋敷の人間に何かあってからじゃ遅いんだ!子供じゃないんだからわかるでしょ!2人ともいい大人なんだから!」


「「ごめんなさい」です」


2人が見るからな落ち込んでいく

反省してる様だし許すと、アルが立ち上がり


「アーク様…後は…お願い…する…です…アメリア…さっき…私が…言った事…ちゃんと…考えるの…です…また…後で…です」


「…ありがとう、アル後でね」


アルは屋敷の方へと歩いていった…さて


「アメ「シュウ…」……」


「シュウ……貴方は…シュウじゃないの?」


「……違うよ、僕はアークだ…前の僕は…秀はこの世界に転移して君と出会い、帰還した後に病気で死んだんだ…今ここにいるのは秀の記憶と人格を持った別人だよ」


「記憶と人格を持っているなら同じ人じゃないの?」


「少なくとも僕はそう感じているよ…星水秀が見て、感じて、体験してきた事を知っている…そう、知っているだけ、僕は彼のしてきた事を知っていて何を思ってきたのか知っているんだ…物語の登場人物の人生をその人目線で見ていた記憶があるだけって言うのが近いかな」


「なら、人格は?それはその人をその人たらしめるものじゃないの?」


「人格は環境によって変わるよ、同じ環境でも同じ人格は産まれないけど異なる環境でも同じ人格は当然生まれない様にね」


「………なら…貴方は……アーク…なのね…」


「うん、そうだね」


「シュウは…もう…いないのね…私が好きになった人はもう…」


「うん、そうだよ…彼は元の世界で死んでしまっても、未練はあったけど悔いはなかったよ…最後に家族に会えたからね…それにアメリア…君には感謝してるんだ」


「え?……」


「君がずっと側にいてくれたから何よりの励みになった…それにこの世界にも大切な家族が出来たんだから嬉しかったんだよ…」


「生まれ変わってまた君に出会えて、君はより綺麗により強く成長していたそんな君に惹かれていったんだ…アメリア…僕はアークライド・ルグウィンだ…星水秀の代わりにはならない…けれど君の側で君と共にこの世界を生きていきたい…」


「わ、私は…ま、まだシュウが、…好きで…大好きで…10年間ずっとシュウのことしか考えられなくて…だから…ごめんなさい…今は貴方の事受け入れることができない…まだ自分の中で答えが出なくて…でも…貴方のお陰で見つけられそうな気がするの…」


「それなら、よかった…待つよ…いつまでもだから焦らずに君の答えを聞かせて欲しい」


「う、うん…あ、の…アーク…」


「どうしたの?…んっ!?」


唇に柔らかな感触が…それにアメリアの顔がこんなに近くに…


「ぷはっ…これくらいは貴方の事好きよ私…それじゃ…」


アメリアは走り去ってしまった…はぁ…やられた…全くこんなの答え出てるじゃないか…

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