第24話 私の答え


〜アメリア視点〜


シュウ…アークからの告白を受けて数日後

この国第二王女であるマリアベル様がお師匠を訪ねて来た


「お初にお目にかかります…ソロモン様…アストラル魔法国国王が娘、マリアベル・アストラルと申します…お会いできてとても光栄ですわ」


お姫様は優雅にカーテシーするとお師匠が


「これは、姫路におかれましてはご機嫌麗しゅう…先代宮廷魔道師団長ソロモン、拝謁を賜りこちらこそ光栄です」


臣下の礼をとるので私も慌てて真似をする


「そ、そんな!ソロモン様にその様な対応をされる程私は優れた王族ではありませんわ!エレナ様と同じ様にしてくださいませ!」


「そうかの?いや、助かるわい…堅苦しいのはどうしても性に合わん」


「えぇ、私としても砕けた話し方の方が好ましく思います…それで.あのそちらのお方は?」


「コイツは私の弟子だ、アメリアと言う」


「アメリアです…王女殿下お会いできて光栄です」


「まぁ!ソロモン様のお弟子様!?で、ではエレナ様の妹弟子様ですこと?それはそれは、是非貴方様にもお話をお聞きしたいですわ!」


何この姫様、すごくグイグイくるんですけど

気押されるな私、下手をして不敬を働いては事だ…


「あ、あの王女殿下…」


「そんな他人行事な呼び方をしないでくださいまし…マリィとお呼びください!敬称も敬語も不要ですわ!」


いや、ダメでしょ!いくら本人がいいって言っても王女様だよ!いきなりタメ口なんて言えるわけないよぉ…お師匠とお義母様に助けを求め目線を送ると


「ふふ、マリィあまりアメリアちゃんを困らせてはダメよ、でもアメリアちゃんもそんなに気負う必要はないわ…自分で言うのも何だけどウチの家系は権力や地位を笠にきて偉そうにするのって出来ないのよぉ…私やお兄様は勿論、お父様やお祖父様もそうだったから…血筋だと思って慣れてね」


「そうじゃな、現王も先代も軽いからのぉ…私も最初は戸惑ったがすぐに慣れるわい」


味方はいなかった…


「で、ではマリィ様と呼ばせていただきます」


「もう!敬称も敬語も無しでと言いましたのに!」


「そ、それはおいおいと、言うことで…」


しばらくマリィ様との話をしお師匠の事を聞けて満足した様に王城へと戻って行った…疲れたよぉ〜


「ありがとうございます…師匠、マリィの相手をしてくれて」


「いや、構わぬよ現王やお前にはこの国を出る時の借りがあるからのこの程度の頼みなら良いよ」


借りって…お師匠…相手王族だよ?怖いもの知らずにも程があるよ…


「…………あの…お師匠……お義母様……その…相談したい事が……その…彼の事で…」


私が急に力無くそんな事を言うので2人は顔を見合わせて優しく微笑み快諾してくれた


「じゃあ、私のお部屋に行きましょうか…エマ、お茶の用意をしてもらえるからしら」


「かしこまりました、奥様」


お義母様の部屋へと連れられ、3人でテーブルを囲む…エマさんはお茶を淹れたら部屋から出て行った…紅茶のいい香り…美味しい…さすがエマさん…


「それでアークちゃんの事で何を悩んでいるの?」


「大方、奴がお前の想いになかなか答えないのが原因じゃろ」


2人がそんな事をいい、紅茶に口をつけた


「えっと…実は…シュウ…いや…アークに告白されました」


「「ブゥーー!!」」


うわぁ!汚い!お義母様!元姫でしょ!絶対やっちゃダメだよ!


「ア、アークちゃん貴方に告白したの!?ママ何も聞いてない!」


「バ、バカな!あのヘタレにそんな真似が…!」


お義母様、普通母親に報告はしないです…お師匠ひどい…


「えっと、でも私とは一緒にいられないって…」


「「はぁ!?」」


「なんじゃ!どう言う事じゃ一体!奴はふざけておるのか!」


アークちゃんまさか…女心を弄ぶなんて…」


2人が誤解しそうなのであの夜に彼から伝えられた事を話した


「「……………」」


2人がしばらく何も喋らない…


「前世と今世の自分は別人か…奴の言ってる事は分かる…いや、記憶や人格を引き継ぎ新たに生を受ける…それはその経験をした奴にしかわからぬこともあるじゃろう…」


「そういうものなんですか?引き継ぎでいるならそれは前の自分の続きと捉える事はできないのでしょうか?」


「それは奴の捉え方次第じゃな………のぅ、アメリア…お前アークを名で呼んだことはあるのか?」


「え?そりゃありますよ何回も」


「違う…『アーク』と呼んだことはあるのかと聞いとるんだ」


「い、いえ…ありません」


「……なるほどの」


お師匠は何か腑に落ちたと言う表情だ


「何かわかったんですか?師匠」


「…本来ならこれはアメリア自身が気付かねばならないことじゃが…アメリアよ…お前が奴と再会してから今日までアークをちゃんと『アーク』としてみた事があるか?」


「……そ…れは」


私は答えられなかった…確かに私は彼をシュウとして想い続けている……私が会いたかった…忘れることの出来なかった最愛の人


「おそらく奴はお前が今の『アーク』を見ずに過去の自分『シュウ』しか見ていないと感じておるのだろう…」


「そう言うことですか…」


お義母様も納得した様に頷く

私はまだ理解できていなかった


「で、でも私には分けて考えるなんて」


「違う、分ける必要はない…お前は過去しか見ていない、今を生きとるアークを見ていないんじゃ…」


「………………」


「私はお前達が一緒になれればと思っとる…しかし今のままではそれは無理だ…むしろ、アークはともかくお前は離れるべきじゃな」


「な…んで…なんでですか…どうして…お師匠までそんな事を…」


「……アーク自身が前世と今世の自分は別人と自覚があるなら、いずれそれはホシミズ・シュウを知っている人間からはアークライド・ルグウィンとは結びつかなくなる…近しい人間からは特に違和感として強く感じるじゃろう」


「それは成長していくにつれ本当に別人へとなってしまうと…師匠はそう考えてるのですか?」


「確証はないが…私は恐らくそうなると思っとる……そしてアメリア…お前が今のままアークと一緒おれば何よりお前自身が大きな違和感を感じるはずじゃその自覚が遅ければ遅いほどお互いの心は深く傷つくじゃろう」


「で、でも私どうしたらいいかなんてわからない…でも離れるのはイヤ…ずっとずっと想ってきたの…それなのに…」


「アメリアちゃん…」


「これはアメリア、お前自身が解決しなければ意味がない…私らに出来るのは多少の助言をしてやる事だけだ……前を向くのだ、アメリア…すでにアークは歩き出しておるぞ」


私の答えは更に暗闇へと堕ちていった……



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