第22話 祈っているよ


お茶会がお開きになり僕達も屋敷へと帰ろうとすると調子の戻ったマリィから


「ソロモン様の件、忘れるんじゃありませんよ!」


念押しされてしまったので


「と、言うわけで第二王女殿下が師匠に会いたいそうです…師匠、暇だし良いですよね?父上にはもう話を通しておきました」


よし、連絡事項は終わった部屋に戻ろう


「まてバカ弟子…王女と会うのはまぁ良いだろう…だがお前、私がいつも暇だとでも思っとるのか?」


「え?だって師匠、僕の訓練以外部屋に篭りっぱなしでゴロゴロしてるんじゃないんですか?」


「そんなわけないじゃろ!これでもエレナから魔法師団の仕事を回してもらってるんじゃ!部屋に篭っとるのは仕事をしてるからじゃ!」


「し、師匠が仕事だと……」


「お、お師匠が仕事………」


僕とアメリアは驚愕した


「お前ら…外へ出ろ…師として改めて話をしてやろう…」


師匠の体から黒いオーラが滲み出ている

わー怒ってるー……僕はアメリアと目で合図を送り


「「ドロン」」


テレポートした……のだが


「させるわけないじゃろ」


「「!!??」」


嘘だろ!テレポートの魔法が書き換えた!

し、しまった!これは…


「魔法破壊……私の最も得意とする魔法じゃ…アークは忘れ取ったのかもしれんが…アメリアは迂闊じゃのぅ…お前達覚悟は出来とるか!!」


「ひいぃぃ…お、お師匠…落ち着いて〜」


くっ…師匠の得意魔法を失念していた…だが僕にはまだ手段がある!


「む!…これは…」


「え?シュウ?消えた!」


瞬間僕は透明化の魔法を発動、同時に身体能力強化!


「小癪な!透明化なぞ!見えなくとも室内全体に魔法破壊を展開すればよいことじゃ!」


「シュウずるい!私それ出来ないのに!」


僕の透明化が破壊され姿が晒されるのだがもう遅い!僕は窓を開けベランダから外に飛び出た


「ごめん、アメリア!君の無事を祈っているよ!」


「裏切り者〜!」


よし!外にさえ出れば身体強化で逃げ切れる!

アメリアが恨み言を言っているが今は撤退だ!

地面に着地した瞬間……僕は部屋に戻り師匠の前にいた……


「くくく…甘いのぉ…バカ弟子」


「バ、バカな…短距離瞬間移動だと……しかも自分以外に…」


「10年前、言ったじゃろう?私にも実りがあったと…お前をただ10年間探していたわけなかろう…私も今だ成長中じゃ!師を見縊るでないわ!」


そんな……もはやこれまでか……


ガチャ


「ソロモン様〜お本読んで〜」


扉が開き救世主たる天使(エステル)が顕現した

師匠は今にも爆発しそうだった魔力を一瞬で引っ込めた


「おぉ、エステル良いぞ〜今度はどんな本を持って来たんじゃ〜?」


「えっとねぇお家を建てるお本!」


………変わり身がすごいな師匠…ホントエステルにはデレデレだ…

あと妹よ…可愛く言っているが建築教本は絶対に君の歳で読むものではない…


「じゃあ、エステルの部屋に行くかの」


「うん!」


どうやら危機は脱した様だ…僕らは生き残った…ありがとう…妹よ…

エステルに感謝の念を送っていると師匠と目が合い


「後で覚えておれよ、貴様ら」


と目線で殺気付きで送って来た……やはりダメかもしれない…




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