第21話 どういう意味です?
アメリアと師匠が一緒に暮らし始めてしばらくして僕はかなり忙しい日々を送っていた両親と師匠による訓練、座学の勉強、マナーの授業、ダンスの練習とアメリアとの時間を設ける暇もない…しかもアメリアがどことなく僕を避けている様だ…まぁ逃すわけないので少ないチャンスに全力攻撃を仕掛けるのだが…最初は顔を真っ赤にしていたのに最近では物理的に行動を塞がれる…いかんせん大人と子供だ…そんなふうにかわされつつある時
僕は今王城で開催されるお茶会に母上とエステルと共に来ていた(母上に強制的に連れてこられた)
今回のお茶会はこの国の王妃ミレディ様の発案だそうで第二王女であるマリアベル様と歳の近しい貴族の子供達との触れ合いの場として設けられた
王女と同い年の僕は勿論連れてこられた…
最初は断っていたのに母上が
「お義姉様から貴方を連れてくる様に言われたから拒否権なんてないわよ?」
くっ!王妃様は陛下とはまた違った意味で強烈なお人だ
「あらぁ〜アークちゃん〜大きくなったわねぇ…相変わらず可愛いわぁ〜ぎゅ〜」
人目も気にせず僕を抱きしめる王妃様…
王妃様は桜色の髪と瞳をしたおっとりとした雰囲気を持つ女性だ母性が強く感じる…何よりも胸の装甲が凄まじい…い、息が……
「王妃様、アークちゃんが死んじゃいます!」
「あらあら、ごめんなさいねぇ」
「ぷはっ…はぁ…いえ大丈夫です……」
「王妃様〜」
「まぁまぁ、エステルちゃん〜可愛い!相変わらずまるで天使のようね〜」
次はエステルを標的にした様だ
今のうちに距離を取ろう
「アーク」
王女様が声を掛けて来た
「マリアベル様、お久しぶりですね」
「もう、マリィって呼んでと何度も言っているのに…従兄なんですから敬語も敬称も不要ですわよ」
「あはは…申し訳…ごめんねマリィ」
「うん宜しくってよ…アーク、少しお話ししましょ?」
「良いけど、他の子達とは良いの?」
「後で交流しますわよ」
王女マリアベルは王妃様と同じ桜色の髪と瞳をしている何度か会ったことがあるけど思ったことをズバッと言ってしまうので僕も初めは面食らったものだ
陛下や父上にもはっきり言うので前回会った時には陛下に「お父様は研究室に篭りきりで臭いです!早く綺麗にしてください!」と言われ撃墜していた
そんなマリィとしばらく談笑していると
「マリアベル様、アーク様」
とある1人の少年が声をかけて来て
「なんですの?貴方、今私はアークと話しているの挨拶なら後にしてもらえるかしら」
「え、あ、あの、その……申し訳ありません!」
マリィの鋭い目付きと冷たい物言いに少年は逃げて行った
怖い…
「良いの?今日はマリィの為の交流でしょ?」
「今はアークとの時間ですわ…後で他の方にもちゃんとお話ししますわ」
「そんな順番制みたいな事して……だから友達出来ないんだよ?」
「うぐっ…お、大きなお世話です」
そうマリィはこの様な態度の為同じ年頃の友人が1人もいないせっかく向こうから挨拶をしてくれるのに近しい者達以外の前では目付きを尖らせ口調もキツくなってしまう…初対面の人には緊張してしまってこうなる様だ…ようは人見知りなのだこの子は…
恐らくそんなマリィを見かねて王妃様は今回のお茶会を開いたのだと思うが…こんな調子で大丈夫かなぁ
「アーク聞いているの?」
おっと
「あぁ、ごめん…なんだい?」
「もう!最近貴方のお宅に大魔法師のソロモン様がいらしていると聞いたのですが本当なのですの?」
「え、しs…ソロモン様なら僕のうちにいるよ?どうしてマリィが知ってるのあの人ウチから出てないはずなのに」
「お母様がエレナ様からお聴きになったとおっしゃっておりましたので」
お喋りだなぁ母上は…別に本人も周りも隠してるわけじゃないけど
「そうなんだ…それでソロモン様がどうかしたの?」
マリィは顔を赤らめてもじもじし出した………なんだこれ可愛いな僕の従兄妹は……普段からこの感じなら友達も作れたろうに…
「あ、あのぉソロモン様にお会いする事は可能でしょうか…私、宮廷魔導師団長のエレナ様に憧れており…その師であるソロモン様にもぜひお会いになりたくて…」
「なるほど、多分大丈夫じゃないかなぁ…この後帰ったら本人に聞いてみるよ」
師匠はいつもダラダラしてるから暇だろ
「あ、ありがとうございます!ふふふ…あのソロモン様にお会いできるなんてとても嬉しいですわ!」
マリィは満開の笑顔で大はしゃぎしていた
………はっ!いけない見惚れていたなんて笑顔をするんだこの子この歳でアメリアにも負けない魅力があるなんて将来はもっと素敵な女性になるんだろうなぁ……
「………!……ク!アーク!」
いけない物思いに耽っていたらマリィが呼んでる…え?なんか顔真っ赤で涙目なんだけど…急にどうした?
「ど、どうしたの?マリィ」
「どうしたじゃありませんわ!そ、その…あ、貴方がみ、見惚…見惚れたなんて魅力があるなんておっしゃるから…そんなお世辞をみだらにおっしゃらないでください!」
………心の声が漏れていた様だ……
聞かれてしまってはしょうがない本心だしね
「あぁ、ごめんね…でもお世辞じゃないよ?本心から君は魅力に溢れる女性だと思っているよ」
「あぅ……あぅ……もうやめてくださいまし……し、失礼しますわ!」
マリィは顔を両手で隠して走って言ってしまった…何か気に触ることでも言ったのだろうか…
「アークちゃ〜ん」
王妃様から声を掛けられた母上もいる
「はぁ、アークちゃん…アメリアちゃんという者がありながら…多感ねぇ」
「ふふふ…アークちゃんウチの娘は安くはないですよぉ〜」
……一体母上は何の事を言ってるのだろう…あと王妃様からの言葉に圧を感じる、あとなんか怖い…
「どういう意味ですか?母上?それにマリィが安くないってそりゃ王女殿下なんですから当たり前では?」
「エレナ、これが普通なの?」
「残念ながらそうです、お義姉様…ホント我が子ながら酷いわね…」
何なんだ………
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