第20話 愛しい人


「や、アーク、来ちゃった」


「うん、僕の部屋入る?」


「良いの?何も聞かずに」


「中で聞くよ」


僕たちは2人でベッドに腰掛ける

アメリア…小さかった彼女がこんなにも綺麗に成長しているなんて立場が入れ替わちゃってるな

前世では自分をこの世界の異物だと居てはいけないものだと思っていてアメリア達の気持ちには答えてあげることができなかった…

けど今は僕はこの世界で生きている

こんなにも綺麗な女性に好意を向けられるのは勿論嬉しい…けれどアメリアが本当に好意を持っているのは秀だ僕じゃない……


「アメリア…少し聞いてほしい」


「なぁに?」


アメリアが首をこてんと傾げる

可愛いなぁもう


「僕はやっぱり君の気持ちに応える事が出来ない…」


アメリアの好意を拒絶する…彼女は黙って僕を見つめ続けている


「アメリアは僕がどんな姿をしていても好きだって言ってくれた嬉しかったよホントに…でもねやっぱり違うんだ」


「いくら前世の人格記憶を持っていても僕はもう星水秀じゃないんだよ別人なんだ僕は今アークライド・ルグウィンとして生きている」


「それでもシュウはシュウよ?」


「違うんだ、アメリア…秀は彼は死んだんだ」


「?シュウはここにいるじゃない、言っていることがわからないわ」


「僕はね君が好きだよアメリア…」


「………え?」


「だけど君と一緒にいる事はできない」


「な、なんでよ!私が好きならずっと一緒にいてよ!」


「秀とアークは別人なんだ、秀を愛している君を見ていると僕は辛い…僕じゃない別の人を想っている君とはダメなんだ…」


「わかんない!わかんないよ!あんたは…貴方はシュウよ!私にはわかる!同じ目をしてるもの!私の好きな優しい目をしたお兄さんよ!」


「どの道、僕の言葉が理解出来ないなら一緒にはいられない……今日はもう遅いし部屋に戻りな」


「………送って……部屋…わかんない」


「ハァ…良いよ行こう」


アメリアを部屋まで案内する

おかしいどうしてこんなに…


「さぁ、着いたよ」


「………納得なんてしてないから!」


「アメリア」


僕は彼女の名を呼び手を取り強引にこちらに引っ張った

そして

「なに……んっ!!………はぁ、あ、あんた」

彼女にキスをした


「アメリア、僕は好きな女性が他の男を想い続けるのを黙って見ていられるほど情けなくはないし君への想いは軽くないよ…必ず君を俺より僕に惚れさせてやる…じゃあ、おやすみ…僕の愛しい人…」


自室に戻り僕はベッドに身を投げ打つ


「ふぅ……まさか自制が効かなくなるほどアメリアが欲しくなるなんて……全く、強敵が自分だとはね……僕も諦めないぞ……アメリア……容赦しないからな」


---------------------


〜アメリア視点〜


あーあーあー何よあいつ言ってる事とやってる事違うじゃないのよ〜


それにキ、キスされた…あの時は最後だと思ってて私からしたけど……それに好きだって、愛しい人ってのって……えへっ……えへへ〜


はっ!いけない…一旦落ち着こう……


シュウ…………なんとなく彼の言ってることもわからなくはないと思う…自身ないけど


彼はシュウじゃない…でも、ダメだ私にはどうしてもシュウとアークを分けて考えられない…


どうしよう…師匠に相談してみようかな


「力、強かったな……」

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