第19話 バ、バカな
夕食を終えエステルと母上はお風呂へ向かった
メイも付いて行った
師匠とアメリアには部屋が与えられ、それぞれ
メイドに連れられて行った
父上は執務室に行く様だ…そうだ父上に勇者の事聞かないと
「アーク、話があるので一緒に執務室に来なさい」
先に父上に呼ばれた
「はい、父上…僕も聞きたいことがあります」
僕は父上と共に執務室に向かった
「旦那様、今日の書類はこちらに纏めておきました…おやアーク様」
執務室には先客がいたモノクロを着けた老紳士父上の従者のクロードだ
「あぁ、ありがとうクロード…済まないがアークと話がある仕事は終わってからにするから先に食事を済ませてくるといい」
「かしこまりました、失礼します」
優雅に礼をしてクロードが退室する
僕は父上と対面でソファに腰掛ける
「まずお前の要件を先に聞こう」
「はい父上、その…勇者についてなのですが…」
「お前も勇者関連か」
「父上もですか?」
「あぁ、私は確認だがな…先程ソロモン殿が言っておったがお前の前世が勇者ホシミズ・シュウなのか?」
「は、はい…名前はあっていますが…僕は勇者なんて呼ばれる様な事をした覚えがないのです…父上には僕が勇者になった理由をお聞きしたくて」
「その話なら私も混ぜなてもらおうか」
音もなく師匠が父上の背後に現れた
「ソロモン殿、あまり屋敷の中でテレポートの魔法を使わないでもらいたい…刺客かと思う…」
「何を言うか、気配でわかったくせに」
父上はやはり規格外だなぁ
普通テレポートしてくる相手の気配なんてわかんないよ感じ取った瞬間いるんだからどうしても焦る
「アーク、お前が勇者になった理由が知りたいだったな」
「えぇ、何があったんですか?」
父上によると
師匠が言っていたスタンピードの時この国の防衛線に父上と母上、それに陛下までもが参陣していたそうだ…両親はこの国最強の戦力だからわかるんだけど陛下まで…魔法の腕は母上には劣るがこの国でも一流なのは知ってるが立場を考えて欲しいなぁおじさん…
それで防衛線に迫って来ていた魔物達を僕が一撃で殲滅してしまいその光景を戦線にいた全ての者が目にしていた勿論陛下も…
結果陛下は僕をこの国の救世主だと言ってしまい…正式な宣言までしてしまった様ださらに国をあげて僕を探したらしい
隣国にまで捜索の手を広げ国家間の仲が良くない帝国にまで使いを出す始末だ
「陛下は僕を見つけてどうするつもりだったのですか?」
「報奨を与えるつもりだったのだろうが、おそらくお前の魔法に興味を持ったと私は考えている」
「そういえば陛下は魔法の虫でしたね」
陛下は公務の合間や時間がある時に魔法の研究をしているそれはもうドップリと国王がそれで良いのか…
「なるほど、捕まらなくて良かった…あれ?でもそれでは勇者の話はどこから?」
「それはアーク、いやシュウ…お前が原因じゃ」
へ?僕?
「お前が帰還の手段であるあの魔法の手掛かりを求めてアメリアとあっちこっちと国に行きそれはもう色々な事に首を突っ込みまっくたからじゃろが!」
師匠に呆れられながら怒られる
確かに3年もの間アメリアと沢山の国々を巡ったしかし手掛かりを探すのが目的なのに様々な事件に巻き込まれた
誘拐、クーデター、突然変異の強力な魔物、スタンピード、秘密結社、行く先々で僕らは巻き込まれた一時呪われてるんじゃないかとアメリアと2人で本気で心配したものだ
「お前が事件を解決しまくって村を魔物から救ったり、王族の誘拐を解決したり、クーデターを鎮圧したり、スタンピードを単独で殲滅したり、国を蝕む秘密結社を壊滅させたのがそれぞれの国の王達にまで話が行き、陛下のお前を探していると言う話に全員が乗っかったのじゃ…しかもお前…バカ正直に名乗ったそうじゃの…」
つまりは僕が事件を解決してしまい国を救った
救った国の王達が僕を探すも名前と姿以外分からなくて途方に暮れていると陛下からの情報により僕と判明数ある国々が話し合い僕を勇者に認定したと…バ、バカな…
「それほどの力を持った者をまず国は放っておかなぬ自国に引き込み戦力なり利益なりを得るためにお前を引き込もうと画策したのじゃろうて…帝国なんかはモロにお前の力が欲しいじゃろうな…お前なら死の森を更地にだってできるじゃろ」
「やりませんよ、そんな事…それよりそれで勇者になるもんなんですか?あと、父上もあのスタンピードの時にいたんですね」
「あぁ国を守るためにな、しかしあの時の凄まじい力の持ち主が前のお前だとはな…通りで魔法剣の習得も早く練度も高いわけだ」
「えぇ、まぁある程度は師匠に教わったので」
「何がある程度じゃたった5年で私と肩を並べるほどの魔法師へとなりよって今度は剣まで極める気か」
「お前ならいずれ私をも超える魔剣士になれるだろう、さて聞きたかったことも聞けたのでそろそろ私は仕事に戻るとしよう」
「でわ、私も部屋に戻るよ…あぁ、ルグウィン卿部屋まで頂いて感謝しておるよ、しかし私達もこのまま暮らしても本当に良いのか?」
「えぇ、構いませんよ…エレナとアークの師匠なのですから…エステルも貴方を気に入った様だ」
「ふふふ、ありがたい事だの…世話になるルグウィン卿」
「アドルフで構いませんよ、貴方にそう呼ばれるのは恐れ多いので」
「ふむ、ではアドルフ、これにて失礼する」
「はい…それでは………アーク…」
「はい父上…まだ何か?」
「いや、アーク…あの子のアメリア殿の事だがよく話をするのだぞ…お前が決めた事なら私は勿論エレナだって受け入れる」
「父上……はい、ありがとうございます…では…おやすみなさい」
「あぁ、おやすみアーク」
師匠はもういない
父上と別れ自室へと戻る
アメリア……僕は…
廊下を歩いていると僕の部屋の前に誰か…あれは
「アメリア……」
「や、アーク…来ちゃった」
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