第18話 ど、どうして


全ての話を終え、僕たちは皆で夕食を共にしていた


「あ、美味しい貴族の料理なんて初めて食べるわね」


「アメリアちゃん、こっちのお肉も食べる?」


「はい!いただきます、お義母様!」


いつのまにか母上とアメリアが仲良くなっている

誰がお義母様だよ!


「ホレ、口の周りが汚れとるぞ」


「ん〜ありがとう!魔法使いさん!」


師匠はエステルに世話を焼いている

まぁ師匠は見た目からまさに魔法使いって格好だしエステルが夢中になるよね


「どうした?アーク」


「いえ、なんでもありません父上」


全てを打ち明けても皆は僕を受け入れてくれた

話を終えた後に


「前世の記憶があろうともアーク、お前は私の宝だ」


「アークちゃんは私がお腹を痛めて産んだ子です受け入れないハズないでしょう?」


「お兄様はお兄様ですよ?」


「アーク様は恐れながら我が子のように想っております…今も勿論これからもです」


「アークライド様は素晴らしいお方です…これからもお仕えさせていただきます」


「アーク様はとっても優しいです!私なんかにも気を掛けてくださって…だからずっとお側にいます!」


とても…とても嬉しかった…悩んで怖気付いていたのがバカみたいだな


「全くお前は相変わらず拗らせおって…もっと周りを頼らんかい!」


「ほんとよ!いつも自分だけで抱え込んで勝手に答えを出して…周りの気持ちを考えないんだから!」


「うん、そうだね…いつも空回りしちゃって…ありがとう…師匠、アメリア」


「弟子を導くのも師匠の務めじゃろうて」


「何があっても私はあんたの味方よ」


本当に僕は良い人たちと縁を結べている


「さぁ!皆でご飯にしましょう!師匠、アメリアちゃんだったかしら2人もご一緒に」


「うむ、いただこうかの…アメリア」


「はい、お師匠…ありがとうございます…エレナ王女殿下、ルグウィン公爵閣下…挨拶が遅れまして…ソロモンの弟子アメリアですこの国最高峰の魔法師と魔剣士にお会いできて光栄です」


アメリアが完璧な礼を執る


「アメリアちゃん、そんな硬くならなくてもいいのよ?師匠の弟子なら私の妹弟子じゃない!お姉様って呼んでくれないかしら」


「うむ、ソロモン様のお弟子殿ならそんなに畏まらなくていい…それにアークと深い仲なのだろう?遠慮する事はない」


父上!?何を言ってるんだ!?


「あ、そうね…あんなに必死にプロポーズしてたものね…アメリアちゃんお姉様じゃなくてお義母様って呼ばない?」


母上まで!?なんで2人共そんなに乗り気なの!?


「はい!お義母様!」


しっかり便乗するんじゃありません!!


「ちょっちょっと、待って!そんな簡単に」


「何よ、私の想いが簡単ですって?10年あんたを探して3年も気持ちに答えてくれなくてもこんなに想ってるのに……」


「アークちゃん…こんなにも女の子が想ってくれてるのに…ママは悲しいわ!そんな女泣かせな子になってるなんて…」


「アークよ、男の責任は果たさねばならないぞ」


な、なぜ両親がアメリアの味方に…


「いい加減腹を決めたらどうじゃ」


師匠が何か言っているがスルーしておこう


「ねぇ〜お腹すいた〜」


エステルがお腹をポンポン叩きながら大人達に訴えた

さすが僕の天使!これで話の流れが一度止まるその間に何か手を…

お兄ちゃんの味方はエステルだけだよ〜


「お兄様もお姉様とご飯が食べたいよね!」


あれ?


「今日はお祝いだね!お姉様と魔法使いさんがウチに住む!」


い、妹よ!何故兄の退路を塞ぐ真似を…


「エステル様、私とお兄様が結婚してもいいですか?」


「うん!だってお姉様も魔法使いさんも家族になるんでしょ!」


「確かに私はアメリアの母のようなものじゃしな、アークとアメリアが一緒になればルグウィン家と縁が出来るの」


もう誰も味方がいない…



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る