第12話 私の夢②

〜アメリア視点〜


この家に来てから私は


「お師匠!朝ですよ!いつまで寝てるんですか!食器が片付かないから早く食べてください!」


「ん〜あと少し〜」


魔法使いさんことソロモンさんに弟子入りをお願いした


「んー、いいよぉ〜」


なんか軽かったけど快諾?を貰えた…けど


「んじゃ、まずは知識からだね」


そう言われて家の地下室へ連れて行かれた

魔法で拡張しているとお師匠は言っていたがそれでも私は開いた口が塞がらなかった


だって私の村より広い書庫なんてありえないでしょ

因みにお兄さんは


「だよなぁ、それが普通の反応だよなぁ」としみじみ言っていた


それでも私は一所懸命に勉強した

たまにお兄さんも来て一緒に勉強したりしている


少しづつ知識を付けていくにつれお師匠がどれだけすごいか理解してきた


このお師匠の家があるのがアストラル魔法国とワール帝国のちょうど間に位置している死の森と呼ばれる場所にあった

普通の人は来ないしそもそも森に入ろうともしないだろう

両国の交易路も森を大きく迂回する形になっている

お兄さん曰く帝国は魔法国を攻めたいが死の森が両国の国境を塞ぐ様にしてあるために攻めることができないと言っていた


この死の森はかなり危険な魔物が多く生息しており高位の冒険者でも絶対に近づかないそうだ


そんな場所に家を建てているお師匠はいかれてると思った

しかしお師匠の正体は元アストラル魔法国の宮廷魔法師団長で歴代最強と言われている

この前物凄く強そうな熊を魔法一発で倒してたなぁ

書庫の魔法国の歴史書に名前があったし、お師匠に聞いたら「そんな昔の事なんか言わないでよぉ〜」と言っていたので本当だろう


ただお師匠は魔法に関しては凄いのだが自生活が酷い…朝起こさないと昼まで寝てるし、料理も作らないと果実しか食べない、読んだ本も片付けないし、ほっとくとお風呂も着替えもしないクサイ…


なので勉強の合間に家の事をする様にした

住まわせてもらってるのだから当たり前なのだがお師匠もお兄さんも気にしなくていいと言ってくれる

それでも私が気になるのでと押し切った

普段はお兄さんが家の事をしているのだがかなり大雑把なのだ軽く掃除や洗濯をするくらいならいいのだが日にちが重なれば目立つ汚れが増えてくる、料理も適当な味付けで濃いこれでは体を壊してしまう


「もう!お兄さんは私が手伝って欲しい時以外は家事禁止!」


「はい……」


こうして家の家事は私が取り仕切ることになった


私がここに来て半年経つとお兄さんが魔法について少しずつ教えてくれる様になった

お師匠に言われたそうだ


「あんたも人に教えた方が身につくよ」と


お兄さんはなんだか複雑な表情をしていた

私に教えるの嫌なのかなぁ、最近お兄さんを見ると胸がうるさいなんだろうこれはそんな事を考えているとお兄さんが


「毎日じゃなくてもいいかい?」


「はい……大丈夫」


「ごめんね」


お兄さんはたまに出掛けているどこに行ってるかは聞いてないので知らないお師匠に聞くと「あいつに聞きな」と返されてしまう


私は思い切って聞いてみたが「あぁ、えっとちょっと調べ物してるんだ」とはぐらかされてしまう


教えてくれる時は丁寧にわかりやすく教えてくれるのだがお兄さんはなんだか私と距離をとっている様だった


私がここにいるの良く思ってないのかなそんな嫌な事を考える様になった自分がすごく嫌だった


お師匠もお兄さんも良くしてくれる

信頼も信用も出来るしいい人たちだ


お師匠はだらしないけどよく私を見てくれているお母さんの様


お兄さんは頼りになるし優しい

側にいると胸がドキドキするもしかしてこれが恋なのかな?


だから不安になる私が迷惑になっていないか


そして不安が残り続ける日々が過ぎてここに来て一年が経ったある日私は見てしまった


「お兄さーん、いる?」


お兄さんの部屋に訪ねるといない様だった


「お兄さんの部屋入った事ないな、掃除もさせてくれないしどうしてだろう…」


私は悪いと思いつつお兄さんの部屋の扉を開けそーっと入った


「うわぁ、汚い…よくこんなとこで寝れるわね」


お兄さんの部屋はお師匠の部屋並に汚かった

やっぱり私が綺麗にしないとと思い部屋を見渡しふと机にある紙に目が止まる


「何かの魔法陣?でも…こんな大規模なもの………え?」


時空超越魔法

それは時間、空間を操り世界の理へと干渉する魔法

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