第10話 ありがとう
「くっくっくっ、どうしたバカ弟子そんなに呆けて」
大魔法使いソロモン、僕の師匠が僕を呼んでいる
「な、なんで」
「ん?なんじゃ?」
「なんで僕だってわかるんですか?見た目も全く違うのに」
僕は声が震えていた
「何を言っておる、お前の魔力をこの私が間違えるはずないだろう」
あぁもうダメだ、僕は膝から崩れ落ち顔を伏せた
「全く泣き虫なのは変わらんのうシュウよ」
師匠は僕を優しく抱きしめて子供をあやす様に頭を撫でた
「ぼ、僕……向こうに帰ってでもすぐ……病気で……ぐすっ……死んで…ここに帰ってきたけどもう僕はシュウじゃないから……し、師匠にもみんなにも……も、もう会えないのかと…思ってて…」
「そうか…」
「ぼ、僕は皆が……嫌いになったわけじゃ……ぐっ……なくて」
「わかっとるよ、私もアメリアもあの子らもそんな事はわかっとる」
師匠は優しかったあの時と同じ僕が不安に駆られ絶望していた時と同じ様に僕を真っ暗な場所から救い上げてくれる
「お前が何よりも家族を大切にしていたこともちゃんと皆知っておるよ、じゃからアメリアたちにもちゃんと会ってやれ」
「グス…はい……師匠……ありがとうございます」
少しして僕の対面に座る師匠の顔が見れなくて僕は顔を手で煽っていた
「くっくっくっいやお前は生まれ変わっても変わらずに可愛いのぉ」
「うぅ〜恥ずかしい……1度ならず2度までも」
「まぁ良いではないか今のお前の年齢だと変じゃなかろうて」
師匠はニマニマしながら僕を見て言った
「もう!それで師匠は母上に用があったのですか?」
「うむ、エレナから手紙でなお前に魔法を教えてやって欲しいとたのまれたんじゃ」
「ええ?母上がそんなことを…でもやっぱり母上の師匠は師匠だったんですね」
「まぁのぉ、随分昔の話じゃわ」
「しかしのぉ、いくら1番弟子の頼みとはいえ私はホイホイ誰かに魔法を教えたりせぬショウ、いやアークライドと言ったか今のお前は」
「はい、師匠それとアークで構いませんよ」
「ふむ、ではアークお前がこの世界に転生した時私はお前の魔力を感じた」
「え?生まれた瞬間に?」
「ふふ、大事な教え子の魔力じゃすぐにわかったぞ、しかし場所まではわからんかったそれでアメリアと共にお前を探した」
「だが全く手掛かりすら見つけられないまま10年が過ぎた」
「そんな時エレナからの手紙で私以外で無詠唱で魔法を行使する子供がいると聞かされた時は間違いなくシュウ、いやアークお前だとわかった」
そんな10年も師匠もアメリアも探してくれていたなんて
「気にするな我らが勝手にやったことだ」
師匠が僕の頭を撫でる
「も、もう師匠子供扱いしないでください」
「何今のお前は子供だろう。なら構わないじゃないか」
バァァン!!!
突然扉が勢いよく開いた
「お師匠!シュウいた!?」
「おぉ、アメリア戻ったか」
あぁ、大きくなったなそれに綺麗になった
金色の髪を靡かせ肩で息をする少女凛とした顔立ちに出るとこは出て引っ込む所は引っ込んでいるスタイル抜群な彼女を見て僕は不覚にも見惚れてしまった
そして彼女が僕に目を向けると瞬間
「!!!シュウ〜!!!!!」
「グフッ!」
僕目掛けて勢いよく抱擁(タックル)してきた
というかなんでわかるんだ!?
それに痛いじゃないかそう思い僕は彼女に抗議しようとしたのだが
「シュウ!シュウよね!?やっと会えた!やっと見つけた!このバカ兄弟子!!皆が、私がどれだけ探したと思ってるのよ!バカァァァ!!」
彼女は大粒の涙を流しながら僕を捕まえていた
そんな彼女に僕は背中に手を回して優しく頭を撫でた
「ごめん、アメリア探してくれありがとうまた会えて嬉しいよ」
僕らはお互いに強く抱き合ったその存在を確かめる様に
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