第9話 ごめんなさい
街の広場で前世の僕の銅像を見た僕はすぐに屋敷へと戻り父上の書斎にて調べ物をしていた
「くそっ!なんで僕が勇者になってるんだ!」
本当に覚えがない僕は元の世界へ帰ろうとしてただけで世界なんか救ってない!
「ダメだ最近の出来事だから資料がないのか?いや父上は公爵だ必ず勇者の情報があるはず」
僕が書斎をひっくり返していると
コンコンコン
「アークライド様、いらっしゃいますか?」
誰か訪ねてきたこの声はカノン?
「うん、いるよーどうぞー」
僕は資料を探すのに夢中で気にせず入室を許可した
「失礼します、アークライド様実は先ほど…………」
「?どーしたのカノン………あ…」
書斎はメチャクチャだった
「アークライド様?」
「ひぃ!」
僕は短く悲鳴をあげた
なんだカノンってこんなに怖かったっけ?
僕は反射的に正座した
「これは一体何をされているのですか?」
「あーいやーこれは…そのぉ…少し調べ物を……あはは…」
「…………」ジッ
カノンが見つめてくるこわい
「ごめんなさい、すぐに片付けます」
僕はすぐに謝り行動した
「いえ、これは私がやりますのでアークライド様はお客様の対応をお願いします」
「お客様?」
「はい、先程奥様を訪ねていらっしゃったのですが不在を伝えましたところアークライド様にお会いしたいと」
「僕に?母上の知り合いかなぁ?名前は?」
「いえ、存じません」
「え?知らないのに入れたの?公爵家だよね?ここ?大丈夫なの?それ」
あっけらかんと言うカノンに対して僕は心配になった主に防犯面で
「それが、宮廷魔導士の証を持っていらしたのでそれもかなり上位の」
宮廷魔導士か…母上の知り合いなら不思議じゃないけど事前連絡もなしに来るなんて貴族のルールでは間違っているのだが
母上があんな性格だからなんだか腑に落ちる気もする
「とりあえず会うよ、応接室でいいの?」
すでに書斎の片付けを始めているカノンに問うごめんなさい
「はい、応接室でお待ちしています」
「わかった、ありがとう」
応接室に向かった
一体誰だろう勇者のこと調べないといけないのに
コンコンコン
「失礼します、お待たせして申し訳……わけ……あ……り………」
部屋に入るとそこにいたのは
「ふむ、何やら面白い事になってるなバカ弟子」
僕を小馬鹿にする様な口調でそれでもどこ愛おしそうに僕を呼ぶ
いかにも魔法使いの様な格好で長い黒髪を後ろで纏めた妖艶な体で色香の漂う顔を僕は忘れるはずはなかった
かつて僕が前世でこの世界に来た時に命を救われ生き抜く術と帰還の方法を教えてくれた大恩人にして大恩師
大魔法使いソロモン
その人がいた
それはあまりにも突然の再会…
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