スナイパーエンジェル様の片想いに気付いてあげて!(周囲は大迷惑です!)
尾岡れき@猫部
スナイパーエンジェル様の片想いに気付いてあげて!(周囲は大迷惑です!)
▶コード:フォーリンナイト展開します。5秒後にアポカリプスへ突入。準備してください。
▶DIVE IN
▶I wish you all the best
▶bon voyage……
初めてのログインに目眩を覚えた。想像していたよりも、美麗なグラフィックに引き込まれるが、もうすでに銃声音が響く。
オンラインFPSゲーム【フォーリンナイト】
合計100人が、バトルロワイヤル形式で生き残りをかける、このゲーム。気が抜けない銃撃戦の間に、建築や錬金術、調理などやり込み要素があるのがミソだった。
初プレイで
初心者には、ソロゲームしか選択肢はなかった。
もう、この段階からゲームオーバーの文字が、脳裏にちらつく。一発、着弾した。あ、これダメだ。もう、アウト――。
「君、初心者?」
穏やかな声は、銃撃戦の最中だと、忘れそうになる。目を丸くした。
天使のスキン。その羽根をシールドに、銃弾から、守ってくれたのだ。思わず目を丸くする。
――スナイパーエンジェル。
彼女が肩に担ぐアサルトライフルを見れば、間違いないと思う。高ランクユーザーだった。
このゲームはフリースキン、課金スキンに分かれている。フリースキンは、たった四種類。一方の課金スキンは1000種類以上にのぼる。能力は変わらないが、スキンでどれだけやりこんでいるか、判別されてしまうのだ。
「ログインしたら、早い段階で武器を収集しないと、ね?」
と渡してくれたのは、サブマシンガンだった。
「ノーマルウェッポンだけど、ないよりは良いよね?」
そう言って、彼女は手を振って跳躍する。
天使の羽根が舞う。
思わず、見惚れて――。
「ぼーっとしてたら、やられちゃうぞ?」
ショットガンを構えた、バスケットボールプレイヤーのスキン。私でも知っている。近接戦が得意な高ランカー。
【スカイウォーカー】
彼が、私を狙うプレイヤーを打ち落とした、その瞬間だった。
■■■
「ねぇねぇ、
人なつっこい顔で、【スカイウォーカー】――下河空君が微笑む。それを、少しだけ不満そうに、【スナイパーエンジェル】こと、天音翼さんが、睨んでいることに、下河君は気付かない。
フォーリンナイトのトッププレイヤー二人が、同じ学校に在籍していることに驚きだけれど。まさか、こうやって一緒にゲームをするようになるなんて。
決して明るいとは言えない私に、当たり前のように接してくれる二人が、不思議でならない。
「……美紀ちゃん。断るなら、断って良いからね? なんなら、部活終わってからで良かったら、私とやろう?」
「なんだよ、翼。今日はバスケ部の日じゃん。ほとんど、プレイできないだろ? 帰宅部同士――フォーリンナイト部員で、自主練してるから、気にせずバスケ頑張って良いから」
違うよ、下河君。そういうことじゃないの! そうじゃないの!
例え、オンラインの世界であっても、好きな人が違う
でも、私の心の声は、まるで届くことはなかったんだ。
「よく分かった。今日、ソロでログインしてね。空君、ガチで今日はヤろう。美紀ちゃんも、ね?」
にっこり笑う、翼ちゃんの笑顔が怖い、怖すぎる。
その日のゲームが『血塗られた黙示録』として、フォーリンナイト史上に記録を残すことになることを、私はまだ知らなかった。
________________
1000字未満を目指したのですが、
本文1416字でした。
三題お題
【天使】
スナイパーエンジェル
【ソロ】
ソロプレイ
【フリー】
フリースキン
で使用できたかと思います。
【三題噺】をちょっとだけ書いてみませんか?
https://kakuyomu.jp/user_events/16817330654787613933
主催の夕日ゆうや様
ステキな企画をありがとうございました!
✩✧✩✧✩✧✩✧✩✧✩✧✩✧✩✧✩✧✩
2023.12.14
この作品をカクヨムコン短編小説部門にエントリーしました。
スナイパーエンジェル様の片想いに気付いてあげて!(周囲は大迷惑です!) 尾岡れき@猫部 @okazakireo
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