きっかけ
桜が満開になる頃、僕の学校は春休みに突入した。
終業式の日は僕を除いたクラスのほぼ全員が浮いていた。いや、正確には僕も少し浮いていた。しかし、不安の気持ちがそれを凌駕していた。
昨年の4月、ちょうど2回生に進学したときに僕はある目標を立てた。
「あたらしいなにかをする」 というものだ。
この目標に基づいて、僕はいろいろなことをした。いままでしてこなかった給食委員をしてみたり、友達に積極的に話してみたりなどなど・・・。
ただ、なにかが足りなかった。というより、今年度一年間通してしたことが、目標に見合ってないと感じたのだ。
自分で立てた目標は守りきりたい。けど、いかんせん時間がもうないに等しいくらいしかない、という不安をいだきながらとうとう春休みに入ってしまったわけである。
では、なにをしたらいいのだろうか。
もう学校はない。部活はあるにはあるが、自分に刺激を与えられるという期待はできない。
とすると、やはり学校以外で、刺激を与えてくれそうなものを探すより仕方なさそうだ。いろいろ考えた結果、やはりSNSを活用するのが最も賢明な判断だと結論付けた。
とは言ったものの、今までSNSを全く活用したことがなかった僕は何をすればわからない。なんせ今まで暇さえあれば本を読んでいた僕だ。仕方のないことだ。
そこで自分の数少ない友達に聞いて自分の「好き」を伝えるといいよ、と助言を受けた。
こうして作られたアカウントの下書きの部分に書かれているのは
「ブッコロー最高!」の一文だった。
我ながら酷い文章だなと思った。ただ、今までSNSのエの字も使ってなかった僕には修正方法がわからなかった。
納得してなかったが、これ以上どうしようもないのでやむなくSNSに例の一文を投稿した。
翌日、そのコメントをチェックしたら返信はおろか、グッドボタンすら押されていなかった。
ある程度予想はしていたが、どこか心の中でグッドボタン一つくらいは来るだろうと楽観視していた僕は結果に納得しつつも誰の目にも止まらなかったことに打ちのめされた。
この旨を先の友達に伝えたところ、
「たくさん投稿すれば、自然とクオリティは上がっていく」
と言われ、僕は5日間、何かにとりつかれたかのように投稿していった。
投稿内容は相変わらずクオリティは低いままだった。
そんな投稿にだれも目を向けるはずもなく、一週間がたった。
飽き性で変化が欲しくて始めたはずなのに何も変化がなく、はじめて一週間なのにもうやめようかとさえ思って来ていた。
その時、ピロンと音が鳴った。発信源はスマホ。
スマホを開いて目に飛び込んできたのはあのSNSのロゴマークと「あなたの投稿に返信がありました。」と明朝体で書かれた文字だった。
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