叫ぶ女

船内食堂ホール。

ここでは各界の著名人がよばりのディナーショーを楽しむ為のホールで

このホールだけでも国家予算並の金額が使用されているホールである。


そのホールの調度品やら何やらを破壊しながら移動する

舞原、 欄、 ランミ。


「ちぃ!!」

「あああああああああああああああああ!! もう!!」


三者三様の戦いである。

三人とも誰が隙を作ったらその隙に乗じて襲う。

かなりやり難い方法である。

一種の膠着状態だ。

だがしかし


「・・・・・」


ランミは余裕そうである。

薄い笑みすら浮かべている。


「へらへらするなああああああああああああああああああ!!」


舞原は笑顔が気にいらずに攻撃を仕掛ける。

円を起点とした攻撃。

隙に対応できるようにしたのだろうか。


「・・・・・」


しかしながら欄は追撃をしなかった。

何故か? ランミの反応が気になったからだ。


(ここ迄の余裕は可笑しい・・・)


勝利確定、 とは決してなっていない状況である。

にも拘らずに笑っている。

死を覚悟しているのか?

何故だろうか、 イマイチ腑に落ちない・・・


「・・・・・」


食堂ホールを見る。

そして思い出す、 過去に家族と来た時の情景を・・・



――――――――――――――――――――――――――――――――


欄は青空の中、 家族三人で


――――――――――――――――――――――――――――――――


いや

思い出に浸っている場合では無い、 前に来た際の事を思い出して

現状にアウトプットするのだ。


「あ」


思い出した、 食堂ホールの近くには緊急脱出用のボートが準備されていた筈

これを狙っていたのか!!


「・・・・・・・・・・」


欄は舞原にランミを任せて先回りをする事にしたのだった。




「む、 脱出口を封じたか」


ランミもその事を察知。


「ならば第二プランだ」

「何をごちゃごちゃと言っている!!」


舞原が叫ぶ、 欄が消えた事で隙が大きい大技を連発している。

ランミは冷静にさばいていく。


「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(声にならない絶叫)」

「ふっ、 まるで獣ね、 アナタ

何で私がよばりを殺したのか気にならないの?」

「全く気にならない!!」

「断言するわね、 じゃあ勝手に語っていくわね」


舞原がテーブルに有ったテーブルクロスを引き抜きランミに投げる。

ランミは拳銃でテーブルクロス越し舞原を撃つも舞原は既におらず

ランミのすぐそばまで寄っていた。


「話を聞きなさい」

「断る!!」

「何でそう頑ななのよ」

「要するにお前はただのテロリストだろ!?」

「違う!!」


ランミは激昂し殴った。


「私がよばりを殺したのは確固たる信念が有った!!」

「信念が有れば人を殺しても良いのか!!」


舞原が殴り返す。


「大義が有れば殺人は容認される!!」


ランミも殴り返す。


「される訳無いだろうが!! そうなったら人類滅亡するだろ!!」

「大義のみが容認される!!」

「誰が許す!!」

「神が!! 後世の人々が!!」

「馬鹿かお前は!! 誰も彼もお前が何でよばり様を殺したのか

誰一人興味無い!! お前はただの犯罪者!!

ワイドショーで5分くらいお前の過去を放送されて

それでおしまい!! お前はアイドルですら無い!!

ただの痛い一般人!!」

「それが間違いだ!! お前だってアイドルだからと人を殺してただろうが!!

第一回戦の虐殺は何を考えている!!」

「人の権利を侵害したら殺されるのは当然だろうが!!」


拳の応酬は一旦止まった。

互いに距離を離した。


「と言うか私に言ってどうするんだ、 SNSにでも書いてろ

私は興味は無い」

「はぁ・・・はぁ・・・これだけ殴り合っているのに?

私に一切の興味が無いと?」

「うん、 そもそもチーフADを殺した事はただ目撃者を殺しただけだろ?」

「・・・・・そうね、 それは認めるよ」

「なら充分」


テーブルを投げる舞原。

ランミはテーブルを回避する、 と同時に

船全体を揺らす轟音が鳴り響く!!


「な、 なんだ!?」

「まさか・・・船ごと私達を沈める気か!?」

「それは違う」


欄が現れた。


「脱出用ボートを全て爆破した、 これでお前はもう逃げられない」

「・・・・・逃げられないから如何した?」

「顔から笑顔が消えたなぁ」


にやりと笑う欄。


「・・・・・」


ランミは軽く息を吸った。


「私は」


舞原がランミを蹴り上げる!!


「喋らせろ!!」

「お前には喋る権利は無い!!」


薙刀で欄がランミを貫こうとするも真っ向から拳銃を向けられ薙刀の刃が砕かれる。


「なっ!?」

「今まで改造弾丸を何発喰らって来たと思っている!!

その程度の刃など簡単に砕かれるぞ!!」

「あ、 そう」


棒術を扱う様に刃が無くなった薙刀を扱いランミにダメージを与えていく。


「ぐえ!?」


ランミもこれには困惑した。


「お前らあああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

アイドルなんて物はなあああああああああああああああ!!」


またしても喋る前に襲う舞原。


「いい加減にしろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!

喋らせろおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

「テロリストには何も与えない、 名前すらだ、 お前は無名のまま

よばり様を殺したクズとして死ね」

「貴様あああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


尚も叫び続けるランミだった。






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