最前線
モフとの戦闘は長引き欄に焦りが見え始める。
読者諸賢は不思議に思っているだろう。
モフは隻腕である、 当然ながらそのハンデは著しく大きいし
幾らモフの方が先頭経験豊富だとしても消耗はモフの方が大きい。
にも拘わらず何故欄が焦るのか?
非常に単純な話だ。
「!!」
「もう来たか!!」
飛んで来た矢の雨を回避する欄とモフ。
そう、 矢田の乱入である。
矢田はおそらく自分を狙って来るだろうと推測している。
流石に人気№1の自分を無視するのは矢田は望まないだろう。
矢田とは何時か決着をつけねばならないと思っていたのだ。
欄の脳裏に浮かぶのは彼女、 芸能界に入った頃の思い出である。
アイドル養成所に入った彼女は日本10週を行った。
何故10週か、 話は単純である、 単なる体力づくりの一環である。
グラウンド10週と同じ感覚である。
当然ながらアイドル候補生たちは途中で体力が尽きて脱落。
死亡者も頻出する有様である。
同年代の者達が次々と脱落していく中で当然欄は走り切った。
延べ1300000㎞を事も無げに走った。
他を圧倒する彼女であったが彼女が警戒した唯一のライバルと定めた女こそ
当時新人アイドルだった矢田である。
と欄は断じた。
当然矢田もそう感じていた。
間違い無くアイドルデスゲームで戦う事になるだろうと
矢田よりも人気で勝る欄だがやはり現状不利である。
モフと矢田を同時に相手にしなければならない状況は控えめに言って
無理難題である。
小国の人間全て殲滅した方が容易いとまで思える。
圧倒的な
これがネックである。
「一体如何すれば・・・・・」
欄に矢が次々と飛んで来る。
矢田も現状を把握したらしい
モフの怪我を見て欄のみに集中して攻撃をする事に決めた。
「これは・・・不味い!!」
モフも離れて手榴弾や爆弾を次々と投げて来る。
欄も薙刀を拾うもやはり厳しい。
「どうすれば・・・」
ごっ、 と鈍い音が響く。
「っ!?」
モフの頭から血が流れる。
モフがキッと睨み周囲を探す。
モフの頭にぶつかった物は・・・
「マイク!!」
「モフは任せた!!」
欄が叫ぶと欄は矢田に向かって走り出した!!
「待て!!」
モフが追いかけようとするも肩を捕まれ殴られる。
「くっ、 舞原ァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
分断された舞原がモフを殴りつけていたのだ。
両手にはマイクを握り、 次々とモフを殴り続ける。
「フンッ!!」
だがモフも歴戦の強者、 一方的にはやられず何とか距離を取る事に成功。
モフは端末を操作して大音量でBGMを流し始めた。
作詞:白百合 モフ
作曲:セニョール太田
戦乱、 戦場、 無限の戦列。
弾丸、 銃弾、 無常の幸福。
あぁ、 戦場に血が滾り、 血が溢れ、 血が流れる。
ここは奈落の
列に並べ列に並べ列に並べ!!
さぁさぁ地獄に一直線に皆で並んで飛び込むぞ!!
モフの歌い初めに合わせて
舞原は端末を操作して大音量でBGMを流し始めた。
「張り合う気か!! 面白い!!」
アイドル同士が歌い合う事により互いの歌が共鳴し
共に力が高まり合う、 即ちアイドルインフレーションである。
この場合の勝者は力に耐え切れなかった方。
力に耐え切れなくなり爆散した方が負けである。
しかしながらこの勝負は明らかに不公平である。
何度も言っているがモフは隻腕だ。
加えて歌唱中も戦闘は継続するのだからモフの疲弊は並ではない。
だが不公平こそが普通の状態なのだ。
モフの
日常の平穏さを歌っている。
即ち戦場に送られる兵士と兵士に任せて日常生活を送っている者。
という不公平な図式を歌い上げているのだ。
ましてや
ここはまさに戦場、 故にこの勝負
分があるのはモフの方である。
「だんすーまかぶるー、 死を忘れるなー。」
だが舞原もここ迄来たアイドル、 一切怯まずにモフとの戦いを続けるのだった。
しかしながら完全に二人は忘れていた。
ここは
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」
「ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
次々と魑魅魍魎が集まって来た。
「邪魔!!」
「金も払って無いのにタダ聞きするな!!」
次々と撃破していく二人だったが当然戦闘は続行している。
前方からの敵兵からの突撃。
後ろからの盟友からの銃撃。
上空からの友軍からの爆撃。
全てが私を悩ませる。
だがしかし
「イェイ!! だんす♡まかぶる♥」
死を歌い上げる舞原との激戦に舞原から注意を切ってはならない。
舞原の拳がモフにクリーンヒットし吹っ飛ぶ。
「っ!?」
そして魑魅魍魎の所に飛んで行く。
だが尚も構わず魑魅魍魎を薙ぎ払う。
そんな中を突撃する舞原、 果たして彼女達の勝敗や如何に。
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