激突、矢田チーム!!

ランミは来るだろう欄を待ち構えていた。


「・・・・・?」


何か物音がする、 と同時に銃声が響く。

ランミは回避しながらスカートに隠していた拳銃を撃つ。


「避けられたか・・・まぁ良い、 何処の誰かは知らないが

ここは日本だ!! 外人は失せろ!!」


撃って来たのは軍人のような姿の骸骨だった。


「オォ、 オバケブギー・・・」


次々とランミは銃で骸骨軍人を撃ち続ける。

しかしまるで効果が無い。


「ムッ・・・サキホドノオバケタチニハキイタンデスケドネェ」

「あんな亡者と私を一緒にするな!!

私は復活の為にこの地に潜伏し力を蓄えていたのだ!!」

「ソノグンジンサンガナンデワタシヲ?」

「外人は殺す!!」

「オォー・・・ムカシノセンソウノヒトデシタカ・・・」


嘗ての戦争時には外国人排斥運動も行われており

彼の様な軍人も当然その様な思想に囚われているのだろう。


「・・・・・オーケィ、 ジャアワタシガアイテシテヤルヨ」

「上等だ!! 小娘!!」


ランミは弾倉マガジン再装填リロード

骸骨軍人は二丁の機関銃マシンガンを構える。


「くらええええええええええええええええええええええええええ!!!」


骸骨軍人が機関銃から大量の弾丸を飛ばす。

ランミは楕円運動状に逃げる、 が


「!?」


突如として鉛の雨が彼女を襲った。

慌てて物陰に隠れたが掠って血が出た。


「・・・・・」


ランミは得心した。

あの骸骨軍人、 一人では無い。

恐らく軍と言う概念で縛られ一人の様に顕現しているが

その実態は恐らく部隊だろうか

観察してみると複数の隊章、 複数の手も確認されている。


「ニチョウマシンガントユダンシテマシタカ」


からん、 と音がした。


「ッ!!」


手榴弾である。

慌ててランミは回避しながらも骸骨軍人に銃弾を撃ち込んだ。


「ぐあ!?」


今度は骸骨軍人がのけぞった。


「今の銃弾・・・ダムダム弾か!!」


ダムダム弾とは命中時に弾頭が裂けることで

肉体組織への激しい裂傷と止血しづらい銃創を作る弾丸。

体の末端部や腹部に命中しても殺傷力が高まるようになっており

拳銃でも高い威力を得られ対象物内部で弾丸が止まる可能性が高い

即ちダメージが大きい弾丸である。

ダムダム弾の名前の由来は19世紀に英領インドのコルカタ近郊にある

ダムダム工廠で製造された対人用拡張弾頭が普及していたためである。


「ダムダム弾は禁止されている筈!!」


そう、 あまりにも高い殺傷能力からダムダム弾は規制されているのだ。


「イホウカイゾウデス!!」

「くぅ!!」


違法改造されているのならばこれはもう文句は言えない。

なんたって違法なのだから。


「確かに強い・・・ならば死ねば諸共!!」

「モウアナタハシンデル!!」


骸骨軍人は絶叫し体に括りつけた爆弾の導火線に火をつけた!!


「共に死ね!!」

「イヤ!!」


全力疾走する骸骨軍人だったが、 ランミのダムダム弾の乱射により

足が砕けて倒れる。


「ぐううううううううううううううううううううううううううう!!!

こんな所で死んでたまるかよぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

「ダカラアンタモウシンデル!!」

「くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


絶叫とともに爆発する骸骨軍人だった。




「・・・・・ランミの奴は如何やら別の相手と遊んでいるみたいね」


一方その頃、 矢田は欄と対峙していた。


「ここで決着を付けるぞ矢田」

「・・・・・弓の名手と銃の名手の違いが分かるか?」

「・・・・・何の話だ?」


にっ、 と笑う矢田。


「矢は、 知っての通り射線にかなりの融通が利く

銃も何だろうな・・・えぇと・・・壁に撃って弾く

みたいな事が出来るじゃないか、 何て名前だったかな・・・」

「跳弾?」

「そう跳弾、 跳弾も基本的にはまっすぐ直角じゃない

それに比べて矢は山なりに飛ぶ」

「そうね、 そこが銃と弓の違いね、 それが何か?」


ぽい、 と弓を捨てる矢田。


「・・・・・何のつもり? 勝負を捨てたの?」

「既に勝負は終わってる」


矢筒も捨てる矢田。


「!?」


矢が一本もない、 と言う事は!!


「ちぃ!!」


上空から矢の雨が降り注ぐ。

ランミが骸骨軍人との交戦を始めた時に欄を止められないと察知した矢田は

矢を思い切り山なりに射っていたのだ!!

そして時間差で自分の近くに落ちる様にしていた!!

即ち、 さっき射った矢が今落ちるように調節していたのだ!!


「これが弓の名手の腕前って事よ」

「さっきから喋っていたのは時間調整の為か!! だが!!」


薙刀を振いながらも飛んでいる矢を打ち払い続ける欄。


「アンタが直接射らなければこの程度の矢!! 凌げなくない!!」

「それは如何かしらねぇ・・・1本2本なら兎も角

私はここに1万本の矢を持って来ている、 多少使ったけども

甘く見積もっても9000本以上、 まともに凌げるとは思えないけどねぇ」

「凌いで見せるわ!! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


絶叫する欄、 それをにやにやと笑う矢田。

果たして勝利の女神は何方に微笑むのか・・・

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