即断即決シスター

「神田よ、 私はお前に尊敬の念すら覚え始めたぞ」


着地に成功したモフは神田に向けて滔々と話し始めた。


「あら、 それはありがとうございます」


神田はモフに対して礼を言う。


「私とお前は今回は味方同士だが敵対する運命にある

それは分かるし、 お前と馴れ合い事はしないだろうと決めていた」

「私も馴れ合いはするつもりはないですよ」

「だからと言ってもう攻撃するか?」


モフは着地の際に神田の攻撃で失った左手を見る。


「うーん、 まさかその程度で済むとは思っていませんでした」

「お前の手品の種はもう割れてるんだ」

「手品?」


神田の声が低くなる。


「我が神の奇跡を手品だと?

そん所そこ等のインチキ紛い物と一緒にしないで貰いたいですね

我が神の力は唯一無二です」

「唯一無二とする情報源ソースは?

この世のインチキ紛い物全てを精査した上で喋っているのか?」

「・・・・・確かに調べても居ないのにそんな事を言うのは大言壮語でしたね

訂正します」

「意外に謙虚だな、 遠慮無しに人の腕を奪った女とは思えない」

「貴女こそ随分饒舌ですね、 結構慌てるイメージが有りましたが」

「血が出ているからなぁ・・・思考が鮮明で単純化される

寧ろベストコンディションかもしれない」


モフは大量の手榴弾を投げた。

空から光の粒子が降り注ぎ手榴弾を全て貫きモフにも攻撃を与える。

だがモフは全て回避した。


「相対すればどんな技でもクリーンヒットする事は無い

そして既に種は割れている、 お前の攻撃は全て空から降り注ぐ

ラグが有れば攻撃は容易」

「ならばこれは!!」


空から光が降り注ぎ大爆発を起こす。

神田は無事だが、 モフの姿が見えない。


「消し飛びましたかね」


しゅぼ、 と音がする方向を見るとロケット砲が飛んで来た。

当然空の光で迎撃する。


「この程度」


なんでもない、 と言い切る前に神田は伏せる。


「外したか!!」


欄の薙刀による攻撃、 回避された。


「流石はアイドル・・・と言っておこうか」


空から光線が欄に放たれるが薙刀で弾き返される。

しかし二発目の光線で弾き返された光線が無効化される。


「華激か!?」

「白百合か、 そうかお前も居るんだな・・・どうしたその腕」


現れたモフの腕を見て驚く欄。


「あの尼にやられた」

「仲間じゃないのか?」

「速攻で襲われた」

「速攻で襲うとは尊敬に値する程の即断即決だ」

「お褒め頂きありがとう、 それで如何する?

二人がかりで来る?」

「それは私の台詞じゃないのか?」

「偉そうな事を言っているがお前のは全部人任せだろうに

既にお前の手品の種は割れてるんだよ」

「また手品扱いですか」

「どういう事だ?」


欄がモフに尋ねる。


「この尼は如何言う経緯か知らないが衛星兵器を使っている」

「なっ!? あり得ない!! 何故!?」

「経緯は知らん、 バックに何らかの組織が付いているのか

如何なのか知らないが・・・」

「・・・・・は、 はは」


笑う神田。


「はははははははははははははははははははははははははははははははははは

ははははははははははははははははははははははははははははははははははは

ははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!

えいせいへいきぃ? 事も有ろうにそんな物を想像するとはいやはや・・・

何と言うかSF漫画の読み過ぎじゃないですか?

そんな物が現実に有る訳ないじゃないですか」


当然の事ながら西暦4500年の世界では既に人類は太陽系を飛び出して

別銀河系へと旅立ち、 文化圏を形成している。

しかしながら衛星兵器なんて代物はほぼSFの世界の代物である。

衛星からのレーザー砲なんて物はロマンでしかない。

現実世界にそんな物を作ったら衛星攻撃兵器により

とっとと撃墜されてしまうのがオチだ。

1950年代ですら既に有る代物での排除が可能なのだ。


「神の奇跡に比べたらマシだ」

「神を侮辱する気か」

「神が一個人に対して贔屓するなんて想像する事こそ侮辱だ」

「・・・・・」


カッ、 と空が光り破壊の光が空から降り注ぐ。

欄と白百合は巧みに回避し続ける。


「衛星兵器だとしてもどうやって破壊する!?」

「知れた事、 地上から衛星兵器を破壊すれば良い」

「どうやって!?」

第二宇宙速度地球重力圏から脱出出来る速度で物を投げて当てれば良い!!」


そう言って手榴弾を空に投げる。

光ったが、 ダメージは無い様だ。


「だが幾ら何でも私達でも人工衛星を肉眼で確認する事は不可能だ!!」

「出来る出来ないじゃない!! やるんだ!!」


先程よりも強い光が連打される。


「これは・・・!!」

「ふん!! この程度、 地方ドサ営業回りに比べれば・・・!!」


試される土地、 北海道出身のアイドルは伊達では無いのだ!!


「っ・・・」


欄も負けじと回避に専念する。


「このままでは!!」


ジリ貧必至である、 しかしながらこの場で戦っているのは3人だけではないのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る