中国地方:地獄崎 帳①

超シンフォニーユニバース・イン・ザ・ヘル・フォー・ユー


作詞:愚かな大衆 監修:地獄崎 帳

作曲:愚かな小町 玲美


(前奏メトロノーム)


人が好きな言葉を羅列すれば最高の音楽が生まれるんじゃないのか?

試しにやってみよう。

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第三位セックス

第二位今だけ無料

第一位殺す


(メトロノームがとまり超高速ドラム)


殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!

これが最高のシンフォニー!!


(ドラムが止まりメトロノーム再開)


こんなもんが音楽なのか?

ただの雑音じゃないのか?

SNSにアップしてみよう

暴力的な表現で通報されてアカウント凍結しちゃったよ

はっはっは・・・・


(メトロノームがとまり超高速ドラム)


殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!

これが最低なシンフォニー。


(ドラムが止まり超高速メトロノーム開始)


(メトロノームに合わせ超高速でしゃべる)

そもそも現状は最低最悪な状況かつての人類の繁栄は遠い彼方圧倒的なゴミ文明私達人類なんて存在する価値があるのかわからない果たして人類はいる意味あるのか

(ここまで5秒)

と、人類の一人である私は愚行します。



(ドラムが始まりかけるが静止する)


黙っていたほうがいいだろう人類は何も出来てはいない

ろくでもないい存在なのだから黙っていよう


(その後3分黙っている)




「はい、 オッケー」

「お疲れ様でしたー」


レコーディングスタジオで新作のレコーディングが終わった。

アイドル地獄崎 帳、 黒髪に赤のメッシュが映える彼女は

ご機嫌だった。


「今日も良い感じだな」

「んぅー、 おつかれちゃん、 帳ちゃん」


地獄崎の所属事務所のバーニンヤン・レコーズの社長

姉坂 姉尾が地獄崎を労う。

彼はねっとりとした口調だが筋肉質な男である。


「相変わらず挑戦的な歌詞ねぇ」

「SNS社会と衆愚共を風刺して見ました」

「社会的ねぇ・・・それよりも聞いた?

山陰ミュージック、 結局ゴールデン・バスは不参加ですって」

「あのバックバンドだけの雑魚?」

「そう、 それで出場者はアンタを含めて5人

エレクトリックアースのINAZUMA、 山陰ミュージックのMessiah

YANYANのツッケンボーン、 そして九重重工業のカートゥーン」

「カートゥーン? 誰ですそれ?」

「覆面アイドルよ、 所詮はコミックリリーフ

気にする事は無いわ」

「・・・・・一応情報収集はしておくべきでしょうね」

「えぇ? 予選開始まで3日よ? 少しは休んだ方が良いなじゃないの?」

「胸が高鳴って眠れませんよ」


そう言ってスタジオを後にした地獄崎だった。

その足でレコードショップに足を運び、 カートゥーンのCDを見た。


「ノイズ Ver.1.0、 ノイズ Ver.1.2、 ノイズ Ver.1.5、 ノイズ Ver.2.0

ノイズ Ver.2.5、 ノイズ Ver.2.7、 ノイズ Ver.3.0、 ノイズ Ver.3.5

ふむ・・・・・」


考え込む地獄崎。

このカートゥーンも自分の様なスタンスのアイドルなのだろうか?

自分は世の歪みを曲に叩き込むスタンスだ。

カートゥーンも自分の歌は所詮雑音と割り切っているのだろうか?


「とりあえず聞いてみるか」


カートゥーンのCD8枚を入手して地獄崎は自宅アパートへ向かった。

家賃は格安SIMカードの月額使用料と同等の値段の治安最悪のアパートである。

ここで彼女は自らの精神を研ぎ澄まし、 名作を生み出そうとしているのだ


「さてと、 じゃあ聞いてみるか」


イヤホンを付けてCDコンポにCDを挿入して試聴を始めた。


「っ!!」


爆音に驚いて咄嗟に止めた。


「・・・・・・・」


余りの爆音に面食らったが音量を下げてもう一度聞き始めた。


「これは・・・」


地獄崎は凶悪な歌詞を歌うが教養は寧ろ高い方である。

即座にカートゥーンの音楽を理解した。


「なるほど・・・これは黄金の20世紀に伝わる太古の音楽・・・

ホンダミュージックって奴か・・・」

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