中国地方:地獄崎 帳②
ホンダミュージックとは本田技研工業の製作するエンジン音の事を言う。
エンジンから鳴り響く管楽器のような甲高い独特なサウンドを指して
まるで音楽の様だ、 となり。
更に翻ってエンジン音を芸術の一分野として考えた
芸術性の高いエンジン音、 機械の駆動音を指して
ホンダミュージックという一ジャンルとしたのだった。
「ノイズというタイトルからメタルマシーンミュージックの様な物を想像したが
アレとは一線を画すな」
メタルマシーンミュージックは1時間以上にわたり機械雑音
を只管流すと言う音楽である。
この音楽を形容するには本当に雑音以外に表せる言葉は無い。
1900年代に突如として現れたこの作品は
ロック史上最悪の実験作にして最低最悪の失敗作であり
西暦4500年においてもコレを超える楽曲は存在しない。
「メタルマシーンミュージックにしろ
このノイズにしろ、 良くもまぁCDにしたよ・・・」
作詞作曲歌手全てがカートゥーンと言う事だが
全編エンジンの駆動音と機械の動作音、 そして地を走るバイク音のみで
構成されているノイズ。
コレをCDにして売り出すとは良くもまぁ考え付いたと感心する。
「九重重工業・・・なるほど、 バイク作りはお手の物って事ね」
アイドルの使う楽器の製作者をCDに書く事は無い。
即ち九重重工業が作ったバイクをアイドルに使わせている。
所謂一種のキャンペーンガールの様な物なのだろうか。
ならば自分よりも格落ちする筈
「・・・・・」
なのだがイマイチ喜べない。
「このバイク音、 ただ事じゃないわね」
地獄崎はすぐさまノイズの解析をし始めた。
「まずはCDジャケットにある巨大なバイクとカートゥーンね」
巨大なバイク、 明らかに大幅な
かなりの金がかかっている。
このバイクについて調べる必要が有る。
「むっ・・・」
調べて見ると、 バイクの改造費に関してはカートゥーン自身が
改造の動画を動画共有サイトでアップロードしている。
「・・・・・」
見始めるとかなりの高額である。
「億越えのバイクですって!?」
地獄崎は金に関しては無頓着だがあまりにもぶっ飛んだ金額である。
嘘の可能性もあるが検証してみるとやはり億どころか10億越えに手がかかりそうな
バイクである。
「・・・・・」
あり得ない、 と思いながらもここまでするのは何故だ?
という疑念が湧いて来た。
ここまで金をかけたアイドルは居ないだろう。
「・・・・・」
地獄崎はSNSのDMでメッセージをカートゥーンに送った。
―――――――――――――――――――――――――――――
始めましてカートゥーンさん
私は地獄崎と言うアイドルです
この度貴女の改造動画を見ましたが
そこまでの大金をかけてまで何故
貴女はアイドルを目指すのですか?
地獄崎@HELL
そこにアイドル道が広がっている
ならば突き進むのがアイドルだ
道が有れば走るバイクと
同じように私は走る。
カートゥーン@九重重工業
お金は一体何処から?
地獄崎@HELL
カジノで稼いだ
アンタもアイドル?
なのにちゃちい事に気にするなぁwww
これは私の勝ちは決まったもんだなwww
カートゥーン@九重重工業
―――――――――――――――――――――――――――――
「・・・・・」
嘘か真かの判断は付かないが
カートゥーンのSNSを遡ると
本当にカジノで大金を稼いでいるし
海外記事をネットで漁ると
本当にカートゥーンはカジノで大勝ちしたらしい。
「・・・・・」
単なるラッキーガールと言うだけでは無く
ノイズから判断するに相当なバイクテクニックを持っている。
「・・・・・」
エレクトリックアースのINAZUMA。
山陰ミュージックのMessiah。
YANYANのツッケンボーン。
九重重工業のカートゥーン。
そして自分、 これらの要素を加味してみよう
ならばどうなるのか・・・
「警戒するにしても第一に警戒するのはやはりINAZUMA・・・」
INAZUMAの超エレクトロニックソングは凄まじい。
圧倒的な電力は都市一つを賄えると言う。
「雷撃とバイクならば雷の方が早い・・・
ならば私はなるべく他の連中をぶつけながらも様子を見るべきか
それともINAZUMAを最優先で倒すべきか・・・」
INAZUMAの超火力と超スピードは凄まじい。
だがしかし自分ならば行けると確信している。
「問題は場所ね・・・」
INAZUMA有利の地形ならば自分に厳しい、 だがしかし
自分に有利な地形、 いやINAZUMA不利の地形ならば
自分にも目はある。
PLLLLLLLL。
携帯が鳴った。
相手は姉坂だ。
「はい地獄崎」
『お休みの所申し訳ないわ、 うちのスタッフの情報網で
色々調査した結果、 アイドルデスゲームの中国予選の場所が
分かったの』
「!! 本当ですか!?」
『えぇ、 決戦の場所は鳥取砂丘よ』
「鳥取砂丘・・・!!」
そこならばINAZUMA不利とはいえないが
充分勝算は立つ!!
「ありがとうございます!!」
『良いわよ、 別に、 勝ちなさいよ』
「はい!!」
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