だんす♡まかぶる♥

時間は少し遡りアイドルデスゲーム開幕セレモニー終了後。

舞原はトイレに向かっていた。


「全く・・・何で君まで付いて来るのか・・・」

「しょうがないだろマネージャーないんだから」


個個も一緒について行っている。


「トイレはここ・・・きゃあああああああああああああ!!?」


悲鳴を上げる舞原。


「どうし、 !?」


驚愕する個個。

叫び声を聞きつけて警備員が駆け付ける。


「どうしました!?」

「あ、 あれ・・・」


ふるふると手を震わせながら指をさす舞原。

指の先に居たのは・・・


「チーフADの鹿島さん!?」


頭を打たれたのか額から血を流しながら倒れていた。

その後、 警備員達の増援が駆けつけてその場を離れた舞原と個個だった。

それから今日までずっと二人は閉じ込められ外部と連絡が付かなかった。

よばりも死んでいた事は今日の朝、 舞原は知った。

だから閉じ込められていたのかと得心した。

しかし舞原の心に有るのは・・・・・形容しがたい感情だった。

復讐心? 鹿島の事を憎んでいたのに?

形容できない、 全く持って形容できなかった。

ちゃんと憎んでいたのかすら分からなかった。

しかしながら一つはっきりした事は鹿島を殺した奴は殺す

と言う明確な殺意だった。


それ故にこの事件の犯人を必ず突き止め殺す為に

まずは都知事から攻める事にした。

第一容疑者として飽がしたと判断した。

だがしかし所詮、 飽は適当に踊っている小物に過ぎない。

派手なパフォーマンスで気を引く為の使い捨ての人形。

なのにそれに気が付かず自分は大物だと思い込んでいる哀れな道化。

大物に思い込ませているのは間違いなく海苔である。

それ故に都庁に潜入正面突破しているが・・・




「流石、 日本の首都東京の都庁、 警備体制が半端じゃない」


都庁職員は全員武装しているが所詮烏合の衆。

本職には遠く及ばない・・・が、 武装が凄まじい。

無反動対物狙撃ライフル。

戦車すら破壊せしめる超々強力なライフル弾。

無反動なので扱いも容易い。

ネックとして固定砲台としての運用になるが、 数でカバーしている。

烏合の衆に強力な武器を持たせると言う発想。

LEVEL1のキャラクターにラストダンジョンで手に入る隠し武器を装備させる事で

戦力としては頭数に入るだろう。

問題としては武装を揃えるコストだが東京都民の血税で賄うという

とんでもない事をやらかしている。


戦車の隊列すら崩壊せしめる対物ライフルの掃射。

舞原は全て避けているが時間の問題である。


「外の強敵は欄に任せるとして如何するか・・・

いや、 出し惜しみは無しで行こう」


舞原は端末を操作して大音量でBGMを流し始めた。


だんす♡まかぶる♥

作詞:舞原 優奈feat.あかべこ

作曲:鬼島 早苗


(♪~前奏~♪)


イェイ!! だんす♡まかぶる♥

貴方の事が好きなのよ、 でもでもダメダメ恥ずかしい。

貴方の事が好きなのよ、 でもでもダメダメお金がない。

貴方の事が好きなのよ、 でもでもダメダメ可愛くない。

そんな私に死神急接近!! 『あなた明日死にますよ』

えええええええええええええええええええええええええ!!?

そんなの無いでしょー、 彼にまだコクってない。

気になる期間限定のパフェもまだ始まってない。

お願いお願い待って下さい、 『ダメダメ、 死は平等だぁ!!』

だんすーまかぶるー、 死を忘れるなー。

だんすーまかぶるー、 心に刻みー付けー。


(♪~中奏~♪)


イェイ!! だんす♡まかぶる♥

言っちゃ悪いけども、 私の人生ダメダメじゃん。

言っちゃ悪いけども、 私の精神メンタルダメダメじゃん

言っちゃ悪いけども、 私はブルブルしちゃうのよ。

そんな私に死神急接近!! 『残り時間半日切った』

えええええええええええええええええええええええええ!!?

そんなの無いでしょー、 彼にまだコクってない。

彼の出張終わってない、 明後日迄帰って来ないー。

お願いお願い待って下さい、 『ダメダメ、 死は絶対だぁ!!』

だんすーまかぶるー、 死を忘れるなー。

だんすーまかぶるー、 泣かないでー。


(♪~中奏~♪)


イェイ!! だんす♡まかぶる♥

私はもうおしまいだ、 昨日飲んで二日酔い。

私はもうおしまいだ、 クレカ止められた。

私はもうおしまいだ、 物凄い雨が降って来る。

そんな私に死神急接近!! 『残り時間1分切った』

えええええええええええええええええええええええええ!!?

そんなの無いでしょー、 彼にまだコクってない。

携帯充電切れたー、 書置きも残せないー

お願いお願い待って下さい、 『ダメダメ、 カウントダウン行くぞ!!』

『5!!』だんすーまかぶるー、 『4!!』死を忘れるなー。

『3!!』だんすーまかぶるー、 『2!!』泣かないでー。

『1!!』だんすーまかぶるー、 じゃあねさようなら『0!!』



「・・・・・ふぅ」


自身の歌を歌いながら戦う事で戦闘能力は

アイドルの戦闘能力は飛躍的に上昇する。

具体的な数値で言うと10倍以上は固い。

その圧倒的な戦闘能力で対物ライフルの掃射を

全て回避しつつ都庁職員を皆殺しにした。 


「想像以上にやりますわね」

「・・・・・」


現れた欄を見やる舞原。

欄は右肩から血が溢れている。


「その怪我ではもう戦えないわね」

「舐めないで貰えます?」


薙刀を舞原に向ける欄。


「・・・・・」


ガタン、 と音が響く。


「あ」「あ」「やばっ」


音の先には海苔、 逃げるつもりだ!!


「「逃がすかぁ!!」」


逃げる海苔を追う舞原と欄だった。

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