知らなかったではすまされない

都庁前での激戦をよそに一人の女が袋叩きにされていた。


「如何してくれんだよ!! こんな事になるなんて聞いてねぇぞ!!」

「そうだそうだ!! 俺達の人生滅茶苦茶じゃねぇか!!」

「ふざけた事しやがって!!」


殴っているのは社会福祉団体『チェイン』の構成員達。

殴られているのは社会福祉団体『チェイン』主催の飽。


「ふざけているのはお前等だ!! 何で私を殴る!!」


飽は絶叫する。


「お前のせいで俺達殺されそうになってんじゃねぇか!!」

「ふざけんなよ!! あんな兵器の群れに突っ込めっつーのかよ!!」

「こんな話聞いてねぇ!!

てめぇみてぇなおばさんについてくんじゃなかったよ!!」

「しょうがないじゃない!! あんなに武装しているなんて知らなかったのよ!!」


飽は絶叫する。


「知らねぇで済むかよ!! この糞野郎!!」


飽の顔を殴って鼻の骨を圧し折る。


「屑!! 屑!! 屑!!」


飽を蹴倒してアバラを蹴り続けて圧し折る。


「このババア!! 死ね!! 死んで侘びろ!!」


飽の頭に踵落としをする。

次の瞬間、 彼等は炎に包まれた。


「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!?」

「熱い熱い熱い!!!!!!?」

「助けてぇえええええええええええええええええええええええええ!!!!!」


続いて打ち込まれたロケット弾によって彼等は苦痛から解放された。




「ふぅ・・・」


モフは物陰から出て来た。


「怪我の・・・何だっけ? 鉱脈? まぁ結果的にヨシ」


モフはカートゥーンに吹き飛ばされ何とか場所を確認しようと徘徊した所に

丁度『チェイン』のリンチ現場に遭遇し白リン手榴弾を投げ込み

ロケット砲で殲滅したのだった。


「これで私も二回戦進出か、 戻ろ」


とりあえず手榴弾を投げて敵を粉砕しながら日本国放送に戻るモフ。


「あ、 手が滑った」


大爆発。





「・・・・・何やってんのかなぁ・・・彼女は・・・」


モフが手を滑らせて投げようとした手榴弾を爆発したのを

日本国放送の社屋の屋上で見守る矢田。


「イマイチ抜けてるのよね彼女、 貴方もそう思うでしょ?」

「・・・・・気付かれていたか・・・」


背後から現れる仁井。

矢田との距離は50m。

弓を構える矢田。


「良いのか? この距離なら近距離の俺の方が有利だ」

「如何かしらね、 それより貴方、 カートゥーンと戦っていたんじゃないの?」

「見ていたのか」

「途中までね、 ビルが倒れたりして砂ぼこりで見えなくなっちゃったし」

「そうか、 一瞬とは言えアンタ程の狙撃手から隠れられるとは幸運だな」


スッ、 と構える仁井。


「空手、 いや柔道もやっているわね」

「あぁ、 何だかんだ言って打撃と寝技、 この二つが一番良い

しっくりくる技だ」

「そう」


矢田は矢を放った。

仁井は走りながらも躱す、 数センチ右に、 ギリギリのラインでの回避。

相手を殴り倒せる位置にまで行けば自分の勝ちだ

極限まで前に進みたい。

しかし矢の軌道が曲がった。

仁井の頬を貫きながらも仁井は前進し続けた、 結果として彼は片耳を失い

頬も無くなったがそれでも前身は止まらない。

矢が更に飛んで来る、 恐らく矢田は仁井を舐めていたのだろう。

今度は5本纏めて、 更に矢を構える。

矢を回避しながら、 更に矢を回避する。

そして遂に2mの距離まで詰まった。

もう矢は撃てない、 弓を構えた瞬間に仁井の拳が飛んで来る。


「一つ聞きたい、 何故私を狙う?」

「この状況、 もう俺は終わったも同然だ

ならばせめてアイドルの1人でも打ち倒して相打ちに持ち込もうと思った時に

お前が見えたからお前を襲っただけの話」

「そう」


弓を落とす矢田、 次の瞬間矢田は仁井の顔面に正拳突きを叩き込んだ。


「!?」


仁井も抵抗しようとしたが次々と殴られる仁井。


(抜かった!! 近距離戦闘も行けるのか!!)


仁井は蹴り上げて距離を取る。


「あ・・・」


仁井は矢で貫かれた。

弓は未だに落ちたまま

だがまるでダーツの要領で投げてもこの距離ならば命を貫ける。

ばたり、 と倒れる仁井。


「これで一回戦突破、 とするのはまだ早い」


矢田は弓を拾って倒れた仁井の矢を放つ、 矢は頭を貫く。

次に心臓を貫く。


「これで良し」


例え改造人間でも半機械人間でもこの状態からの復活はあり得ない。


「これで残りは後3人、 欄さんと舞原の何方かが知事の所に向かって

残りは李と朝倉か、 一体誰が勝ちぬくんだろ」


わくわくしながら社屋の中に入っていく矢田だった。





「ちぃ!! どこ行きやがったああああああああああああああああ!!!」


【爆裂豪列天下無双国士無双天上天下唯我独尊万夫不当王道楽土天上天下

アルティメットバーストフェイタルキラーブラストグランドハイパー

ロジスティックロマンティックドメスティックドラマチックドラスティック

アーコロジスト12号-2型カスタム改マークⅡ】を吹かしながら

動き回るカートゥーン、 仁井が消えてしまったので探している最中である。


「ったくよぉ!! 冗談じゃねぇぜ!! さっさと終わらせてぇってのによ!!」


文句を言いながら煙草を吸うカートゥーン。



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