第二章 東大戦争編 1日目 前半戦「獣魔軍の侵攻」
第2話「図書館攻防戦 ゴブリン軍団の侵攻」
1
勉学は、辺りを見渡した。こ、ここは? どこだ?
後ろには
そして、目の前の玄関は……なぜか破壊され、見通しが良くなっていた。
青い軍服に、青い鳥の
ファ、ファンタジー映画の撮影か? コスプレ? いや、夢か。夢だよな。
それなら、もう少し近くで見るか。東大転生を書く時に役立つかも。
よろよろっと勉学は入退館ゲートを通過し、玄関口に向かう。
一番先に目に入ったのは青髪の女の子。ゴブリンと互角の戦いを繰り広げている。
あ、ゴブリンに剣が弾かれた。ゴブリンに殺されそうになっている。
「落ちこぼれ、何、ゴブリンに負けてんだよ」
オレンジ髪の青年が、女の子を殺そうとしたゴブリンを切り捨てる。
「ケ、ケイン! 違うんだから」女の子は慌てて弁解した。「め、めちゃくちゃ強いゴブリン。最強のゴブリンだったのよ!」
「いねぇよ、そんな奴」ケインが女の子をにらみつける。「だろ? 雑魚オリーブ」
「ざ、雑魚じゃないんだから!」オリーブはプンプンする「見てなさい」
オリーブは呪文の詠唱を始めた。
「魔人ハンター殿、姫に何と言う口を」
一人の騎士が、ゴブリンを槍で払いながら、ケインを叱責する。
「戦場には向いてねぇんだよ、この落ちこぼれは」
ケインは、ゴブリンを一刀両断する。
「モクジュ モクジュ リート」
オリーブが呟くと左手の紋章が輝き出す。「
オリーブはドヤ顔で叫んだ。
すると手からポンと木の枝が出た。
ゴブリン達は一瞬呆気に取られる。
が、オリーブが狙い目だと思ったのか、彼女の元へ
「な、何で、私だけ、魔法使えないのよ」オリーブは嘆く。「私だけ、私だけ!」
「アナトリア家ならよ。
ケインは、オリーブに近付くゴブリン達をバッサバッサと斬る。「髪も青だしよ。お前アナトリアの子か? 本当に」
「ほ、本気出すと強いんだから! 目がピカってなると、強いんだから!」
オリーブが喚いた。
「はい、はい」とケインが流す。
「大魔王デスマギアとガオウを倒すのは、私!」
オリーブは続ける。「女王になって、アンタの事、こき使ってやるんだから」
別のゴブリンが騎士達の
そして、勉学に襲いかかってくる。
オリーブが後ろを振り向く。勉学を見つける。
「き、来ちゃ。駄目!」
オリーブは
「お、おい。これは映画の
「はぁ? 何それ? 映画?」女の子は顔をしかめる。「戦争中でしょうが!」
ゴブリンはピンピンして、オリーブにナイフを向ける。
「戦争?」
「そう、戦争。アンタ、アイス様のテレパシー聞いてなかったの?」
オリーブは、ゴブリンの剣をいなす。
オリーブが前戦から抜けたからか、もう1匹のゴブリンが図書館に侵入してきた。
「逃げるか、戦って!」オリーブが叫んだ。「現実だからね! 死んだら、本当に死ぬからね」
2匹目のゴブリンが、勉学を狙い、走ってきている。
「はぁ、現実? い、いやいやいや、ちょって待て。どういう事だ」
「異世界転生したの! アンタ!」
て、転生だと?
刹那、勉学の頭に男の声が響く。前の女とは別の声だった。
「『賢者の杖よ!』 と叫んで下さい」
「は?」
「早く!」男の声は急かす。
ゴブリンは、勉学の頭に、ナイフを振り下ろしてきた。
ま、まぁ、リスク無いし、一応戦っておくか。
「け、賢者の杖よ!」
やけくそで、勉学は叫んだ。すると右手に黄金の杖が現れた。
ゴブリンのナイフを杖で受け止める。
「貴方のジョブは、賢者です」と脳内男がつぶやく、
「賢者?」
「前回のデータの引継ぎで、賢者の杖も持っています」
勉学は、ゴブリンの攻撃を杖で受け流す。
オリーブは
「な、何だよ、前回のデータって」
「次は、『槍となれ』と叫びなさい」
「無視かよ」
「槍となれです」
ゴブリンは、再度勉学を襲って来る。
「や、槍となれ!」勉学は声を張り上げた。
同時に……、杖の
「斬って、斬って」男の声は命令する。
「いや、いや、いや。斬れって。俺、武道とか知らねぇぞ」
そう言いながら、勉学はゴブリンの攻撃を柄で弾いた。
「大丈夫。肉体は強化してあります。その為の転生です」
脳内男が助言する。「貴方は強い!」
「あぁ! もう訳分からん! 責任取れよ、カスが」
勉学は、刃をゴブリンに
するとゴブリンの体は真っ二つになった。
「う、うぉぉ、凄ぇ」
「それが、杖の能力1つ目。形状変化です」
男は更に「杖の先端が、槍や斧、ムチや剣になります」と言った。
横を見るとオリーブはまだゴブリンに苦戦している。
もしかして、こいつ、俺より弱いのか? まさかな。
「やるじゃない、アンタ」
オリーブは勉学を賞賛してきた。
「アンタじゃない。羽柴勉学だ。東大の神、東大神だ」
勉学は訂正しながら、オリーブと戦っているゴブリンに向かい、ダッシュする。
そして、ゴブリンを槍で貫き、殺した。
バゴン!!
前方の壁をぶち破って、ビッグゴブリンが侵入してきた。
「お前等、雑魚。邪魔、雑魚」
「雑魚だと?」勉学の眉間に皺が寄る。「神を愚弄する気か」
勉学は横に回転し、渾身の一撃をゴブリンにお見舞いした。
「
ビッグゴブリンは上下に切り裂かれた。
「あぎば」と叫ぶと爆発した。
「舐めるな、東大を!」勉学はドヤ顔をしながら、言った。
慣れたら弱いなコイツ等。俺が強過ぎるのか? そんな訳ないよな。
「羽柴……勉学……? いやいや、まさかね」オリーブは動揺し始めた。「前にこの世界、来た事ある?」
「いや、無いが」勉学は答えた。
「よ、良かった。
その言葉と同時に、ドゴォンと言う音が玄関から聞こえた。
3メートルはある、ゴブリンキングが玄関に現れた。
大きな
「お、オリーブ。逃げろ」
血だらけで倒れているケインが叫ぶ。
お、おい、あの強い奴、負けたのか?
ゴブリンキングは、目障りだと言わんばかりに、ケインの背中に斧を振り下ろした。
血が床に広がる。や、やばい。やば過ぎだろ。アイツ。
普通のゴブリンとは全然レベルが違ぇ。
「ケ、ケイン! 嘘でしょ、ケイン!」オリーブが泣き叫ぶ。
「オリーブ様! 時間を稼ぐので3階へ!」
一人の騎士が、大量のゴブリン達に向かっていく。
ゴブリン達は騎士に飛びかかり、ナイフでなぶり殺しにした。
床には騎士の血が染み渡る。
「ジョナサン!」オリーブは沢山の涙をこぼす。
「おい、3階に逃げるんだろ? 行くぞ」
と勉学は、親指を3階に向ける。
「う、うん、そうね」オリーブは頷く。
勉学とオリーブは、振り返るや否や全力で走り出した。
モンスター達が追っかけてくる。
2階に辿り着くと、両脇から老兵が飛び出してきた。
「ここは、お任せ下さい。オリーブ様。3階に行ったら、直ぐバリケードを」
老兵はニコっと微笑む。
「……ゴメン。ルーカス、オリバー」オリーブは、目をつぶる。「絶対、また会おうね」
「ええ、絶対に」老兵2人はオリーブにウィンクする。
続けてルーカスが「姫は落ちこぼれなんかじゃない。国王様に似た、本当に
「ありがとう」オリーブは泣いて、感謝した。
老兵2人は頷くと、階段を上ってきたゴブリン達と戦闘に入った。
槍でバッサバッサと薙いでいく。
勉学とオリーブは、ひたすら大階段を上っていった。
今日の夢はリアリティが凄い。
2
図書館の3階にオリーブと勉学は辿り着いた。
すると!? な、なぜ、こんなにも多くの○○が!?
これは、どういう事だ?どういう事なんだぁぁぁ?
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