『スライム』を追いだすための対策を考えてみる
今のところ『スライム』はおとなしくしている。身体を左右にゆらゆらと揺らしている。少々不気味な光景ではあるが、特に何か実害があったわけではない。
しかし、あんなに薄くなって身体が伸びているのに、ちぎれたりしないのだろうか?
それに、身体が薄く伸びている状態でも、身体の一部がテーブルに垂れてしまうこともなく、表面張力を保っている。その重力を無視したような姿も、やはり非現実感が漂っている。
さて、いい加減この『物体』をどうにかしなければならない。
ここからは、『スライム』を追いだすための対策を考えてみる。
例えば、この『スライム』を怖がらせるのはどうだろう。あくまで、こいつが生物なのであれば、火を近づければ怖がるのではないだろうか?ちょうど、上着の内ポケットにはライターが入っていることだし、火の用意はできている。後は外に追いだせるように、玄関前からではなく、テーブルの下から回りこみ、逆側から近づいていけばいい。
なんだ、簡単なことじゃないか。さて、作戦を開始していこうか。
ん?いや、待てよ。
『こいつ』ちゃんと火を怖がるかな?見るからに液体の身体。属性による優劣はファンタジーの鉄板であり、この『ファンタジーのかたまり』に火が効かないのは、可能性として充分なのである。もしかしたら、水ぐらい吐くかもしれない。
他にも考えなければならないことがある。
シンプルに、襲ってきたらどうしようか。今はおとなしくしているが、こちらから先に敵意を向けるのだから、一転して、攻撃してくる可能性がある。また、スライムの特徴として『溶解』の能力を持っている可能性がある。何故だかは定かではないが、そのように表現される作品が多い。そうなってくると、テーブルの下をくぐるのも大変リスキーな行動となる。
最後に、幸いにもここまで出てきた問題が解決したとしても、危惧すべき点がある。
めちゃくちゃ燃えたらどうしよう。『こいつ』ガソリンくらい燃えそうじゃないか?まったく効かないか、引火して爆発的に燃える
かのどちらかじゃないだろうか?
杞憂と言われればそれまでなのだが、実際に相対して見ればわかる。『未知』なものは、それだけで大きな脅威であり、どの可能性も捨てきれない。
よって、作戦『怖がらせて追いだそう』はやめておこう。
次の作戦は、ズバリ王道中の王道。『友好的な関係を結んでみよう』である。
『スライム』といえば、物語の序盤に登場し、主人公と友好関係を結んで、使役されるのが定番である。大抵は優しく接してみたり、食べ物を与えたりが一般的である。
不安な点としては、『仲間になりたそうな表情』を見極める自信がないことだろうか。
なんともうまくいかないものだ。
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