第2話僕は…

「話って?」

「えーとね…少し説明しにくいんだけど」

「ゆっくりでいいよ」

なんだろう、なんだか重い話な気がする

「私ね…あなたの母親…」

「ん?あなたの母親?なんだって?」

最初は「母親」と聞こえただけだと思いました。母親に似た言葉で何か言ったのだろうと僕は勝手に思ってしまいました。

「そう、母親」

「母親〜としか聞こえないって、何?」

「いや、だから…は・は・お・やだって」

「ガチで?」

「うん、言おうか迷ったけど。あなたも大人になったし…いいかなあ…て」

「え?いや…うん」

僕の脳は誕生日ケーキの糖分を使い情報を処理して…頑張って受け止めようとしていました。

「冗談?」

「冗談じゃないよ、誓うよ」

「…じゃあ俺は姉ちゃん?の子供?」

「沙耶母さんの子供」

「姉ちゃんが?俺?の?母親?」

「そうだよ」

「姉ちゃんが俺を産んだ…?」

「そうなるね」

「今まで隠してたの…?」

「そう」

「………父親だれ…?」

「父さん…」

こんなに気まずいことはない。

「じゃあ姉ちゃんと父さんは血が繋がってないの…?」

「繋がってる…父さんの子供…」

「父さんは…自分の娘と…」

「そう…だね」

父さん…何をしでかしているのだ…複雑すぎる関係だ…

「で…ここまでの経緯を話したくて」

「ああ、うん…」





こんなけと物語の中だけだと思ってた。

高校生になって母がいなくなって。

父は急に忙しくなりストレスが溜まっている様子だった。

家事は私が受け持ち

父に休ませた。

父は少し元気を取り戻したようで安心した。

ある日家に帰ったら

「父さん?お風呂…」

「ああ!ちょ勝手に部屋に…!」

「ご、ごめ父さ…」

ガサっ

後ろから抱きつかれた。

私が悪いのか。どうなのか

父は朝、起きたらすごい勢いで謝ってきた。

けど、遅かった。


案の定、妊娠してしまった。


中絶しようと父に言われたがなんだか嫌だった。

勝手な考えなのだろうけど

私と父との間にできた子、もう不幸なのにさらに中絶でもしたらもっと不幸な子になってしまうと思ってしまって。中絶をやめた。

もしかして、このまま天国に行ってしまえば不幸な子としていじめられるかもしれないと思った。

ばかばかしいけど、私なりの優しさ…?かな

生まれた時は複雑な気持ちだった。

父と私との子で不幸になるべきして生まれてきた子、なのだと、けど、この素敵な世界に私を通して生まれてきてくれたことになんだか命の尊さを学んだ…ような気がした。

この子は父の子ということとして育てていこうと決心した。

幸せにしたい、どんな境遇だろうと私の子だ

父には死ぬほど働いてもらうとこを約束して貰い。私の子、走矢を全力で育ててもらうことも約束してくれた。バカな父だなと思った

今、走矢は幸せかな?


「幸せだよ」

いつの間にか泣いていた。ごめんよ走矢

私のたった1人の息子。

普通の女の子として生きたかったよ

「大丈夫だよ、とりあえず父さんには罰ゲームだね」

「僕は不幸な子でもなんでもないよ、とっても…すごい…結構幸せだよ」

「本当に…?幸せ?」

「僕は


      幸せ

             」

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不幸な子 @tensuke0628

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