不幸な子
天
第1話僕は幸せです
今日は僕の誕生日です。
しかも18歳、一応成人です。
まだ大学生活で実家暮らしだから経験とかまったくないけれど。
楽しい時間を過ごしています。
母が早く亡くなって
父が僕を育ててくれました。兄も姉もいて手伝いながら僕を育ててくれました。
そんな父に感謝を伝えるチャンスだと張り切っています。
「今日誕生日だったな?」
「うん?そうだよ父さん」
「何、食べたい?」
「なんか作ってくれんの?ありがとさん」
「俺が作るんじゃねえけどな」
「姉ちゃん?」
「歩も帰ってきてるからな、あいつも一人暮らししてるしだいたいは料理できるだろ」
「兄ちゃん最近カップラーメンばっからしいよ」
「歩も忙しいもんなぁ…しゃあねぇ、俺も手伝うか。18歳になるんだもんな、沙耶の手伝いでもしてやろう。」
父も僕だけのために料理を作ってくれるようです。
父の料理をしているところを見たことがないから少し心配ですが、期待しときます。
姉は料理が得意です。母が亡くなってから毎日作ってくれています。
姉はいつも家にいて家事をしています。
姉は器用でなんでもこなす人です。
何というか「達観」といいますか。
僕は姉を信頼してます。
「誕生日おめでとうー!」
「兄ちゃん!おかえり!」
「かわいいオメェのために帰ってきてやったぜー」
「プレゼントは?」
「自分から言ったらダメだろ。まぁあげるけどさ、ほら!」
「なんだこれ?」
「ゴムだよ」
「はあ!?あほかよ!」
「彼女のひとりできてるだろ?避妊は大事だぞー」
「言われなくても…」
避妊は大事です。
これは流石に分かりますよ。
兄は自由な人です。
社会人になって、お金を自由に使えるようになってからまた荒れ出した気がします。
兄が高校の時は金髪だったし、やばかったけど、なぜか頭は良くて今はなかなかいい会社に勤めているようです。
「ねえ…」
「どしたの姉ちゃん」
「何食べたい?お買い物しとかないと」
「あぁ…唐揚げ!ピザ!シーザーサラダ!」
「分かった、父さんと兄さんとお留守番よろしく」
「はいはい」
姉はいい人だ、
「父さんもうビール飲んだの?はえーよ!」
「いいじゃねぇかお前の誕生日なんだから」
「無理しない程度にね」
「へいへい」
そうやっていつも父は飲みすぎるんだけど、
お酒ぐらい自由に飲ませてあげたいという僕の勝手なエゴで許しています。
「唐揚げできたよ」
「でかした沙耶!いいタイミングだ!」
「父さんお酒…」
「許したげて姉ちゃん」
「沙耶の唐揚げは最強だからなぁ!よし!俺も酒飲むか!」
「走矢はコーラでいいよね。持ってきてあげる」
「ありがとう姉ちゃん」
「サラダも一緒に持ってきてあげる。ピザはもうちょっとかかりそうだからまっててね」
「分かった、いつもありがとう姉ちゃん」
「急に何?悪い気分ではないけど。私はこういうことしかできないから」
「しゃあ!乾杯だ歩!」
『かんぱーい!』
「コーラまだなんだけどー…」
「あははは!!すまん!忘れてたわ!」
「今日の主役走矢だったな!忘れてた!」
『ぎゃはははは!!』
兄と父は…ダメなところが似ている。
でもこうやって盛り上げているのは父、兄だし
幸せな…
「ぐかぁー…ぐおぉぉ…」
「すごいいびきだね」
「ごぉがぁごォォ」
「こっちもすごいよ」
「ねぇ走矢、ちょっと話があるの」
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