ルリハの昔話
目が覚めると床に倒れていた。肉塊のおかげで柔らかい床。染み出した粘液は妙に甘い匂いがしている。
「ところでお主、儂が一体何者か、本当のところを知りたくないか?」
「本当のところ? ルリハって神じゃないの?」
ルリハは視線を落とした。
「儂はお主ら、ヒトという種族の間では神と呼ばれている。じゃが、本当は違う。儂は、万能の神でない。単なる生き物じゃ」
「神でない……?」
「だったら教えてやるぞ。ジジイのたわけた昔話だと思って聴いてくれ」
ルリハは一息ついた。
「儂らは自分たちを『
ルリハの視線はじっと下を見つめていた。
「ワシだけ、なんでか生き残ってしまってる。ヒトが嫌いなのじゃ。本当の姿なんてただの肉の塊なのに、みんなワシを聖なる神として崇めている。燕矢の人間だけは、儂の本当の姿が少しだけわかるらしい。だからこそ、お主しか頼れんのじゃ」
ルリハが抱きついてきた。腰にまわした腕は、意外に細い。
「儂の孤独も、癒してくれ」
ルリハはうずくまると泣きだした。清秋は、真人への後ろめたさを感じたが、ルリハを優しく抱き返した。
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