再会
真人と寝たあとのことはあまり覚えていない。感情に呑まれて、まともに思考回路が働かなかった。だからだろうか、いつのまにかまた祭壇の前に立っていた。
鍵を開け、扉に手をかける。
一瞬だけ躊躇ったが扉をひらく。扉を開いた先、本殿の中央、球の上にはルリハが座っていたいた。
「なんと、本当にまた来たのじゃな?」
ルリハは驚いたように目を見開いていた。
「会いたかったんだ、ルリハ」
「……そうか。まあ、こっちに来い」
ルリハに誘われるまま、本殿に入る。
「お主のような気概ある男は何百年ぶりじゃろう?」
ルリハの目は輝いていた。
突然、触手が一気に伸びた。
「しばらくご無沙汰で、我慢できぬ。慰めてくれ」
触手に掴み取られて、ルリハの胸へ強引に抱き寄せられる。
ルリハは唇を重ねてきた。柔らかく細い舌がねぶってくる。抱き寄せる手が、震えている。
憎いと思った。
ルリハはようやく唇を離した。まっすぐで、清らかな目。ルリハにだけなら、すべてをささげてしまってもいい。この生命さえも。そう願ってしまった。
目の前が一気に暗転する。
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