第9話
「・・・・うん・・・すぐに目指したわけでは無い・・・。
初めはパン職人になろうと思っていたけど
むずかしいな・・・と思って。
・・・・・いろんな仕事・・・・転々とした後・・・・。
ユーリの叔父にあたる男性と出会って。」
サトシがチバ氏を見る。
「彼は画廊を経営していて
俺の絵を見て
・・・・・俺の絵を
・・・その・・・見いだしてくれて・・・
えっと・・・・マネージャー・・・・マネージャーとして
彼が俺を売り出してくれた。」
サトシがゆっくりと話す
彼のこれまでの歴史は
あまりにざっくり過ぎる。
俺は
もっと知りたい。
俺と会わなくなってから
サトシがどんな生活をしていたのか
15歳から55歳までの
サトシのすべてが知りたい。
「夕食は俺が作るよ。」
サトシが話をきりあげるように言った。
「俺の記憶だとだとカズヤは少食で好き嫌いがあったけど
今はどう?」
「いや、さすがに何でも食べるよ・・・生ものだけは無理だけど。」
「そうか・・・。刺身振舞おうかと思ったけど
焼き魚にしようか。」
「ありがとう・・・釣り・・・するの?」
「するよ。ほぼ自給自足。魚釣って畑で野菜作って山菜とって
鶏とヤギも飼ってる。」
「・・・すごいね・・・・。」
サトシの逞しさに
感嘆する。
俺は
俺の好きになった人が
あまりにすごい人になっていて
もうサトシの生活が俺と違い過ぎるとか
そんなのはどうでもよくなって
ただただサトシがかっこよくて誇らしかった。
「ヤギ見ます?」
チバ氏が言った。
「少し、島を散策してくるといいよ。1時間もすれば
夕飯もできるから」
俺はヤギには全く興味はなかったけど
チバ氏と話をするのも悪くは無いと思い
一緒に外に出た。
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