第2話

個展を開催する画廊の主人に


画家に会いたいと懇願する。


当然


「oto sasigataには会えませんよ。」


と、つれない返事が返ってくる。



そこそこ名の知れた彼女の絵を


こうやって展示して


売買するにあたって


素性を詮索しないという暗黙の了解があるらしい。



窓口となっているのは


男性のマネージャーで


それは彼女の夫では無いという事だ。


そもそも


彼女の年齢もわからないし


結婚しているかどうかも不明だ。


「だけど、活躍しだした年代から考えると40代~60代くらいじゃないですかね。」


少し太った画廊の男は


そう言って笑って


「マネージャーの男性は若いですよ。


以前はもう少し年配の男性だったそうですが


ここ何年も若い彼ですね。」


と付け足した。



もしかして


サトシの息子・・・・??


そしてその年配の男性というのがサトシ・・・・?



俺は


何とかそのマネージャーと連絡が取れないか


執拗に聞いてみる。


俺があまりにしつこく聞くからか


それとも


oto sasigataのことを知りたくて


こんな風に言い寄る者に慣れているのか


「取り付く島も無いような不愛想な男性ですが


一応マネージャーに会ってみますか。」


と言ってくれた。


「無理でしょうけど・・・。」


と言いながら、太った彼は


個展が終わって絵画が引き取られる日に


マネージャーが来ることのなっている


と教えてくれた。


俺は彼に名刺を渡し


その日を心待ちにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る