第31話

私は深夜カップラーメンを食べていると


窓縁の電話が鳴る


部屋の四隅の隅の方に置かれた


窓の下にある電話は


辺りの住人のことなど気にせず


黒い本体がなる


黒い受話器を取ると耳に当てる


声の主はかすれ男のようにも感じられた


[今晩は 夜分遅くにすいません 好きな時間をお教え願えませんでしょうか]


セールスか変態か新手の宗教観誘か


[えっと]


私は時計を見る


しかし


何か言う前に


[その数字に二を足して]


なにを言っているのだ


と思いながら


時報と間違えたのかと思った


相手の言うとおり


12に2をたした


[それに三をかけて]


三をかける


[二で割って下さい]


私は言うとおり二で割る


[あなたの思い描いた数字は12ですね]


その頃には


数字当ての法則を思い出していた


一つの数字に 数式を当てはめると


全て相手の始めに考えた数字になるのだ


柱時計が一度鳴る


私はいつの間にか切れた受話器を置いて


皿を持つと お勝手に向かった


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