第30話


犬の散歩で 少々いつもよりも

遠回りの道を選んだあたりは 堤防沿いであり

時折 マラソンをしている

おじさんが通っていく

そんな中で リードを引きずるように

アスファルトを歩いていると

したの鬱蒼としげった中に

何かが落ちているのを見たそれは 堤防の下

この前の洪水の時かとも思ったが

河口からも遠く

かなり山寄りのこの場所まで来たとは思えずらく

なおかつ

それは あまりにも

それこそ

その場所に はなから設置されるために

置かれたように

置いてある

軽トラのようなものではなく

細い鉄の棒が組み合わさった

その物体は

なんとなく降りて近づこうとすると

相変わらず

犬のタロウが地面に

斜面に顔を引きずり

前足を抵抗させ

拒否するが

どうやら それは

茅に紛れているが

ブランコのようであった

 ワンワンワン

いきなりタロウが吠え始めた

仕方なく

僕は

太郎を置いて

また来ようとしたが

次の日

自転車に乗って

来た時には

跡形もなく消えていた

場所を忘れたのかとも思うが

あんな大きなもの

分からなくなるものだろうか

ただ 昨日見たと思った斜面に

何かをひきづったような コンクリートに白い跡が見えた

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