第25話

夕暮れ時

ゆらゆらと

足取りのように

ブランコが揺れている

風のせいかとも

考えたが

茹だるような暑さは

そこに空気の動きさえも許してはいない

周りに子供は愚か

人影はなく

やけにひんやりとした光景とは裏腹に

暑さに淀み無く辺りは停止しているように思われる

 こんにちは

私はを振り返るが そこには誰もおらず

気のせいかとも考えたが

確かに声は聞こえた

それが間違いでないのであれば

確認不足かやはり空耳の可能性が高い

 こんにちは

私は小さく声を出す

側から見れば不審者に見えるかもしれないが

手っ取り早く解りやすいのではないだろうか

ただ声に返答はなく

摩擦する鎖の音が前方の空気をかき混ぜ

僅かに生暖かく顔を撫でていた


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