第12話
ブランコに触ると 私の手はひんやりとした感覚に包まれる
それはただ 鉄の冷たさだけでは無い
どちらかといえば それは 間違いなく 私の記憶が由来しているのは間違いがない
私がまだ 小学生だった頃 転校前に 私は山村の村の学校に居た
しかし 時間も三ヶ月と非常に短く
私は それでも色濃くその場所を覚えている
いや 村は その状況に 非常に引っ張られる形で
記憶が強制的に 思い起こされる
まるで レモンや梅干しを想像するだけで
体が勝手に反応して 唾が出るが如き
私の体は 深々と寒さに反応する
私が一人 引っ越してきた村の学校に夕方 登校の練習も兼ねて
遊びに 向かっていた
後者は木造であり
もう誰もいないように静かに暗い
私は 学校を一周まわると 校舎の裏にはグラウンドがあり
都会と違い 土が剥き出しのまま それは構成されている
私は その向こうに ハシゴを横にしたような
遊具と
その横に見慣れた ブランコを 見つけた
グラウンドを横切り
私は そのブランコに向かおうとしたが 土の地面が足をとるように邪魔くさい 土とは どうも面倒だ
それでも ブランコに行くと
一人の子供が座っていた
私は 見えていなかったようだ
時間は徐々に山向こうに太陽が沈み
自然な暗さが ビルの間ではなく 全てに平等に侵食し沈み込もうとしている中だ
見間違えてもおかしくは無いはずだ
私は それに 乗るのを諦めようとしたが
「良いよ 乗っても」
その声に振り返ると 子供が降りてこっちを見ているが 陰になって見えない
「ありがとう」
私はそう言って それでも帰ろうとも思ったが
後々 遺恨を残さないためにも
お礼を言い
そのブランコに 座って 勢いよく 漕ぎ出した時
何回か 漕いでいるとそれは徐々に径を大きくし
それは一周しかねない場所までそう時間はかからないが ある時 何かにぶつかり
私は恐怖で 揺れるブランコにしがみつき
それがなんなのか
ブランコの周りの柵のような囲みにぶつかったのかと
その不審さに 首を捻りながら 後ろを向くと
あの服の子供が寝込んでいる
っあ
私は その子供に 近づくと
体を揺すぶろうとして 手を当てて嫌な感じがする
妙に冷たい
まだ日中の気温の延長線上
だと言うのに
それはやけに まるで 冷たい餅でも触っているように 滑らかで 私は その時 どうして良いかわからず
わー
と言って帰ってしまったが
怖くなり 夕食後 親に話すと
急いで グラウンドに連れて行かれた
ライトの灯りが 余計暗闇を避けそして深くするなか
私は確かに 聞いた ギーコギーコギーコ
それは確かに 鎖の音であり
私は内心ほっとしたが
親の懐中電灯の明かりが ブランコに何も写していないのをみた時
冷や汗が流れるのがわかる
ブランコが小さく風に揺れている
グランドを横ぎり
ブランコの真下に行っても
誰も 人っ子一人居なかった
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