同窓会

勝利だギューちゃん

第1話

同窓会。

かつての、クラスメイトが集まる会。


卒業時は、「頻繁にやろうね」という声も出るが、そんなに甘くない。

おのおの、個々の生活が忙しくなり、余程親しい関係でない限り、疎遠になる。


それでいいし、そうあるべきだ。


僕のところにも、卒業後の数年は頻繁に案内のハガキが来ていたが、最近は来ない。

もう、数十年は会っていない。


もっとも、会う気もないが・・・

ただひとつ。


「みんな、生きているかな」


今はみんな、バラバラになっている。

どこでどうしているのか、わからないし、もし会ってもわからないだろう。


周りも僕には、興味がないし・・・


「電話だよ」

弟の声がする。

仕方ないので、出てみる。


「はい、お電話変わりました」

『あのう、畑中アタルくんですか?』

「はい。私ですが・・・」

誰だろう?


『私・・・森原真奈美だけど』

「森原・・・ああ、高校のクラスメイトだった」

『そう、覚えていてくれた?』

そりゃあな・・・


「で、何の用だ?わざわざご機嫌伺でかけてきたわけではあるまい」

『実は、今度同窓会をやることになって、集まるだけでも、集まろうかと・・・』

「却下」


電話を切った。


ジリリリ

再度電話が鳴る。


『こら、いきなり切らないでよ』

「参加したくない」

『どうして?』

「おばさん軍団にあっても、仕方ない」

『あんたたちだって、おじさんじゃない』

「でも、会いたくない」


僕の中で、彼女は美しいままだ

思い出を汚したくない


『現実をみなさい』

「同窓会よりも、今も家族を大事にしなさい」

『嫌味?』

「どっちが」

『とにかく、来ること。わかった』

「へいへい」


同窓会

そこは、懐かしい場所でなく、過去の想い出が汚れる場所なのだ。


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同窓会 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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