第7話

バイバツ組の屋敷。朝早くから広いエントランスにはぎっしりの組員達。108人。2階からボスが組員達を見渡す。ドハイは重い口を開く。


「皆も知っての通り、ダンテ、シャロンが襲撃にあった。そしてその三日後、昨日だ。北の支部局がリーベッド組の襲撃にあった。短時間で占拠され、応援も間に合わず。そして各地の拠点も挑発を受けている。」


ドハイは柵を強く握る。


「ヤツらとの停戦は破られ、このアーケバスの均衡は崩れ、そしてこのバイバツ組を嘲笑う。それが許されて良いものなのか!お前らの根性みせろ。」


屋敷内は歓声とリーベッド組への怒号で埋め尽くされた。

ダンテとシャロンは後ろの方で聞いていた。


「ねえダンテ、あなた、命狙われてるのでしょ?あなたも戦いに行くの?」


「………シャロン、勘違いしてないか。これから全員命張っていくんだ。俺らが特別なんて物は無い。」


一人の男が階段を上り、真ん中辺りで振り向いた。


「あー、みんな良いかな。」


灰色のつなぎを着た頭がボサボサの男。

フジイだ。


「大丈夫だとは思うが、小銃、足りてるか?この一年間でまあ、弾の在庫も溢れんばかりだ。大いに暴れて来い。」


フジイはそう言うとボスに会釈し階段を降りた。


二時間後。時刻は午前11:28分、曇り。

車で組員達は目的地に向かう。

目的地は北、バイバツ組支部奪還と周辺リーベッド組の基地の殲滅。ここを攻め落とせれば、アーケバスの街半分近く縄張りを戻せる。各支部も時間差で出発する。総勢で千人は超える。


「お嬢、本当にあなたも付いてくるのか。」


組員の言葉にシャロンはムスッとした顔を見せ、


「舐めないでよね。私をあなた達如きが守ろうなんて思わないでー。」


午前12:02分、目的地は目の前。

見張りがこちらの存在に気づき、早くも銃撃。先頭を走る改造された重機で、見張りを轢き施設の門を破壊。

そして一斉に車が侵入。建物からは大勢のリーベッド組が。銃撃戦が開始する。


「シャロン、銃は持ってるな。」


「ええ。」


ダンテとシャロンは車の陰に隠れ様子を伺う。シャロンは震える手でハンドガンを持つ。


「この人数だ。撃ち方は教えてるな。あとはやってみろ。」


「ダンテ!何でそんな簡単に、、、」


バイバツ組の最前線が徐々に進み、建物の玄関前まで上がっている。ダンテは飛び交う銃を潜り抜け、最前線に突入、応戦する。

シャロンは動けないでいた。手に持つ銃を眺め、涙が溢れる。


初めて死を実感する。こんな恐怖、初めて。

血を出し倒れるみんな、そこに自分が飛び込むと言うの?馬鹿みたい。ダンテもパパも皆んな馬鹿馬鹿。こんな戦いどうでもいい。でも、でも、私も馬鹿なのよね。


「進めー!!」「階段に二人だ!」「グハッ………角にいる、、、」「抑えろ抑えろ!」


バイバツ組は最上階まで前線する。ここも残りあと僅か。奪還も時間の問題だ。

リーベッド組最後の一人は自決。

北支部奪還成功。応援の気配も無い。周辺のリーベッド組の基地も善戦との連絡。


「抜かるな、帰るまでが抗争だ。」


ネオンはそう言うものの煙草に火をつけ一服。


「………シャロン、シャロンはどこだ?」


ダンテは転がる死体を一人一人確認しながら下へ降りる。外に出るも見当たらない。車にもいない。


「………どこ行った、、、」


「おい、ダンテいるか!?」


組員の一人がダンテを呼んだ。


「今仲間から連絡が入った!シャロン、この一キロ先の敵の基地で倒れてるって。」

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