第5話

「ダンテ、何食べる〜?男の人はさ、やっぱりお肉?あ、でもまだ食べられない?」


シャロンはメニュー表をパカパカ開閉し話しかけるも、ダンテは黙ったままである。


「………もう。折角の外でお食事よ!つまんないよー!」


ダンテは注文のベルを鳴らした。


「え!待ってよ。私まだ決めてないのに。」


店員が来た。


「………ハイボール。以上。」


「ダンテ、お昼ご飯が酒?あ、私はクリームパスタと、キッシュと、あとこれー!デザートのりんごパフェを食後持ってきて。」


シャロンはメニュー表を戻す。


「ま、何か大変らしいし、考え事多いんでしょ〜。私はね、服買ってる時と、美味しい物を食べてる時と、鼻歌歌いながら浴びるシャワーはね、悩みとか全部消えるんだよねー。」


ダンテの無反応の中、シャロンが喋り続けていくうちに、注文した物が次々と届く。


「でさ、確かに私も不安よー。ネオンみたいに車の運転なんかした事ないし、ダンテみたいに銃なんて撃てないし。でもね、男は作れるのよ。簡単なの〜。でもね、パパが威張りん坊でしょ!だからパパの正体を認知された途端、いつも逃げられちゃうオチなのよねー。」


シャロンはテーブルの料理に目をやると、目をまん丸にした。


「え、いつ届いたの??食ーべよ。」


クリームパスタを口に運び、笑顔で頬張るシャロンをよそに、ダンテは無言のまま、ハイボールのジャッキを見つめていた。


「ダンテ、何見つめているの?」


その途端、ダンテは体を伏せると同時に、銃声が鳴り響いた。ジョッキに銃を向ける影が見えたのだ。壁に穴が空き、シャロンは大きな悲鳴をあげた。黒ずくめの男がピストルを持っている。ダンテは横に体を転がしていき、連射される銃弾を避けていく。

シャロンは咄嗟にハイボールを男目掛け投げつけた。顔に酒がかかり、一瞬うろたえたスキをダンテが銃で男のこめかみを撃った。


「ダンテ!!」


「シャロン、奥に逃げろ!」


足音がこちらに向かってくる。まだ敵がいる。

ダンテは店内の陰に隠れ様子を伺う。

三人、恐らくヤツらだ。店の外に逃げようとする客を一人残らず撃ち殺し歩く。

ダンテは不意打ちで一人撃ち殺し、隣の太い柱へ転がり隠れる。仲間二人もそれに気づき、銃で追うも間に合わず。一人、ショットガンの男がダンテの隠れるコンクリートの柱を撃ち、抉れ、コンクリートが散らばる。

二人は挟み討ちをし、ダンテを詰める。


何故、俺はあの時生かされたのか。ダンテはその事ばかり考えていた。心臓の鼓動を大きく感じる。息を殺すのもやっとの事。兄貴、あなたがいたらどれだけ頼れるか。

もう、兄貴はいない。だが、俺は生きている。


ダンテは椅子を投げると、ショットガン男は反射的に椅子を二発撃った。

するとダンテが現れ銃を向け、


「二連式だろ。」


と言い、ショットガン男の頭を撃った。


「やはり、ダンテだな。」


残りの仲間がダンテの頭に銃を向けた。


「その細い目、白い肌、ストレートの黒髪。間違いない。」


ダンテは左手をポケットに近づけると、


「諦めろ、俺の方が速い。バイバツ組でも銃の腕が立つと聞いていたが、はっ、なかなかやるじゃねえか。」


「俺を長々と褒めに来たのか。」


「だかな、隠れては撃って、隠れては撃って。ロマンが無いねえ、若いヤツってのは。さあダンテ、残念だが今回は生き残れない。」


ここまでか。その時、


「待って!あなたに言いたい事がある。」


なんと、シャロンが奥から出てきた。

彼女は深呼吸をする。


「おい、シャロン!?」


「………?お前も死にたいか、お姉さん?」


シャロンは男を指差した。


「あなたね、さっきロマンって言ったでしょ。それなら、そっちはどうなのよ!折角のデートもこの様よー!ロマンの欠片もないじゃな〜い!!」


ダンテと男、二人固まってしまった。

我に戻った男は標準をシャロンに向けた。ダンテは、すかさず銃を男に向けたその瞬間、レストランに黒い車が突っ込んできた。男を撥ねて止まる。ドライバーが車窓から顔を出す。


「シャロン、結局迎えの連絡は俺なのかい。」


「ネオン!!」


ネオンは二人を乗せて、ボロボロの高級車を猛スピードで駆けていく。


「シャロン。」


「ん、なーに?ダンテ。」


ダンテはシャロンのパッチリな目を見つめ、


「………よろしく。」


「!………あら、こちらこそ〜。」





《人物紹介》


氏名 ネオン・D・リー


年齢 38歳


身長 192㎝


職業 バイバツ組幹部、武器兵器運搬


趣味 ドライブ

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