第4話 新たな世界の開幕 スターチス
魔法陣が消えた後、手の痛みが引いた。
手の甲を見る...⁉︎なんだこれ。さっきの魔法陣がしっかり刻み込められている!…??しかもあの世界に来ている!
「父さん、何ですかこれ⁈さっき出てきた、魔法陣の模様が手の甲に刻まれているんですが?そして...」
父さんは、普段落ち着いている僕がたくさん喋っているのに笑った。
しばらくすると。
コツ、コツ、コツ。
「お話中に失礼いたします。旦那様、例の準備が整いましたが、いかがなさいますか?」
綺麗な聞き取りやすい声の発音。素晴らしいと惚れてしまうほどの、身なりと姿勢と言葉使いが整っている。執事として完璧な存在だ。
「ああ、こちらに持ってきてもらえたら嬉しい。それが終わったら、俺は帰る。後の説明や服の採寸は君に任せる。」
かしこまりました、と言って廊下に行き何かをトレーに入れて父さんの前に持ってきた。そして父さんは、それにサインして太鼓判を押した。
「これで旦那様の契約は切れました。」
「ああ、では任せたぞ。」
僕と執事は、静かな洋部屋に残った。
「では、この間の続きから説明いたします。貴方の役割は、影に隠されている事を明らかにし、処分すること。また、国王陛下を影でお守りすること。大きくこの二つです。」
父さんは、こんな難しい役割をこなしていたのか。頭が混乱するなぁ、
「つまり、貴方は明日から剣術とイギリス英語、振る舞いなど常識の範囲に当たることを学んで頂きます。私からの説明は以上です。何か質問はございますか?」
顔を横に振ると、さっそく準備をするようだった。あっ、と言ったら何か質問でも?と執事から視線を返された。
「執事、この世界の時間が分かるような物が欲しいのだが、何か無いか?僕があっちに行っても分かるようにしたい。」
執事は、荷台から他に比べると小さい箱を手に取って、僕に渡した。
「これは...」
濃紺の色のバラが浮き出ているの懐中時計。中はローマ数字。雫の形の宝石がストラップになって付いている。
「その宝石の色は、貴方だけが身につけているものになります。他に似た宝石はございません。無くさないようにお願いいたします。」
その後、服を作るための採寸やらなんやらあり、やっと終わった時。あっちの世界では朝の五時。やばい!
「すまないが、後は次に来たときに回してくれないか。」
執事は、自分の懐中時計を見て言った。
「では、次に致しましょう。帰りは行きと同じ方法で帰れます。では。」
と言われたとうりにして、家の中にたどり着いた。
そしてここからが、新たな僕の世界の誕生だ。
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