第2話 心のダリア

 なんでこんなにもやもやするんだ。なんだ?目の前がグラグラして机の上に崩れそうだ!

「ヤバイ、誰か...。」

ドサッ。と机の上に崩れると同時に、寒気が込み上げてきた。

「寒い、寒いっ死んじまうよ。誰か!」

何かが、僕の前に歩み寄る足音が聞こえた。この音、教室じゃない。教室は音がこんなに響かない。

「ここはど...?あんた誰?」

「私は貴方の執事ですが?伯爵なのですから、言葉使いにお気をつけください。」

は?

「もしかして、旦那様から何もお聞きになっていないのですか?貴方の代で、こちらの世界にも来られることを。」

「僕はそんな事聞いてないぞ。」

執事は、それを聞いてきょとんとしていたが、書斎であろう所から見慣れない本のページを開いて僕の前に置いた。

「なんだこれ、教室⁈みんなと僕もいる。」

執事は、冷静な顔で面倒くさそうに説明してくれた。その説明でやっと、僕は今の現状を理解する事ができた。

「つまり僕は、今までいた世界とこの世界を行き来することができる。そしてこの世界は、ヨーロッパの16世紀なんだな。」

「ええ。そして貴方は、今日から寝なくてもすぐ疲れが回復する体になります。つまり、いつでも疲れがすぐになくなります。」

まじか、ラッキーだけど入らなくない?という視線を執事に送ると。

「この能力は、できるだけこの世界と貴方が今までいた世界を両立して頂きたいからです。そうでなければ、貴方はあちらの世界で亡くなってしまうようになっておりますので、あしかわらず。」

なんか面倒だなぁ...ただクラスの奴やに迷惑かけたくない。

「では、両立することにする。だが、この世界での僕の役割はなんだ?」

執事は、品のある懐中時計を除いて僕を見た。

「それはまたお越しになった時にしましょう。30分までしか今はいられないので。早く貴方は元に戻った方が良いでしょう。では後ほど。」

僕の不安な気持ちを、置き去りにしたまま執事とあの世界は消えてしまった。

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