本当の僕はどんな人なのだろうか

@AMAYONOMAIHIME

第1話 ミヤコワスレとサクラソウ

 僕は、教室の中がくだらない日常で溢れていてうんざりしている。生徒との付き合いは嘘笑い、馬鹿みたいなのハイテンションでどうにか持ち堪えた。面倒くさい奴ばっかり。それももう疲れた。担任の態度は、お気に入りの生徒を有利な解決をして、偉そうな感じで。気に入らない奴は、潰れてしまえという視線が教室の空気から伝わってくる。なんなんだろうと思う。

 そんな毎日は明日で終わり。やっとこの教室から離れられる。そう思うと僕は、難しい巨大迷路から出られたような欣喜雀躍な気持ちでいっぱいになった。

 翌日。新たなクラスが発表される前に思った。新たなクラスでもうんざりするような奴しかいなかったらどうするか。

「んー...。」

...

まぁ去年みたいに、僕じゃない顔の仮面を被せておけばいいか。そうしているうちに、クラス発表の紙が手元に来た。自分の名前を探し、クラスの生徒の名前を順に追っていった。名前とその生徒の性格、行動、会話術、などの入った頭の中のデータファイルを照らし合わせていく。そして、クラスのどれくらいの割合が面倒くさい奴か頭の中でだす。そこまでが、クラス発表の紙を見て考える事だ。

「はぁーぁ。去年より面倒くさい奴は少ないけど、面倒くさい奴のレベルが上がってるじゃん。ケッ。しかも女だし、マジ面倒なんだが。」

僕は、ネチネチした奴が大の苦手で大抵女が多い。...。そんな事を考え続けていたが、疲れてついに思考停止した。

「疲れたし、帰ろ。」

まだ寒い風が吹き、髪が靡いている。

 

 寒い風が和らぎ梅の花の香りが漂い始めた頃に始業式が始まった。校門に立つ先生方に挨拶した後、教室に向かい指定された席に座った。机の上に置いてあるプリントに目を通して、サブバッグにしまう。そして、今までのデータファイルの中にデータがない人達の観察を始める。それが、これからの大事な資料になるんだ。

着席時間の五分前に生徒は座り始めた。そして、前の席の人が喋りかけてきた。

「こんにちは。始めまして、霧橋彩芽です。よろしくお願いします!」

やばい。会話を成り立たせねば。

「えっと...空星雨夜です。こちらこそよろしくな。」

結構言葉出ない。初対面きついわー。 

「私、理系が好きなんだけど空星くんは理系と文系どっちが好きなのかな。」

「理系かなっ。今まで文系でいい点数ないし、楽しくないからさ。」

「仲間がいて良かった。私友達少ないし、一緒に喋る人も少ないので...。」

「ああ、僕もそうなんだよね。結構辛いよな、班で行動とかマジ影薄い状態になっちゃう事が多いしさ。」

「うん、なんかどうすればいいかわからないだよね。仲良くしようね、私のことは霧橋でいいよ!」

「じゃあ、僕は空星でいいよ!今後もたくさん話そうね。」

ふぅー。少し疲れたけど、なんか話す相手がいると楽しいな。楽しいはずなのに、心の中で曇りかがっている気がする。なんでだろうか。







 

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