第116話 『摩周湖ダンジョン』
一つ目の街でお弁当を食べた私達は、ちょっと休憩した後、摩周湖目指して出発した。バフが乗ってるので歩くスピードが速い速い。このままだと、次の街まで1時間ほどで着いちゃうね。
次の街でも生存者は発見できず、まだ時間があるということでさらに先に進むことにした。この先はしばらく街がないので、一気に摩周湖まで行きたい。さりげなく誘導しながら、霧の摩周湖を目指す3人組。すっかり辺りが暗くなった頃、私達は摩周湖に着いた。
「……これ、ダンジョンだよな?」
暗がりではあるが、目の前にはぽっかりと空いた
確かダンジョンマスターがすごく強いから、決して戦わないようにって言ってたよね。とりあえず、ここに
「よし、今日はここで休憩して明日、このダンジョンを探索しよう」
戒さんがとんでもないことを言い出した。いやいや、みんなと待ち合わせしてるのに
「えっと、ここでそんなに時間取って大丈夫ですか?」
ほら、楓ちゃんだって心配しているでしょ。
「それは大丈夫。さっき連絡を取ったら我々はだいぶ早く進んでるらしいから」
ああ、そうでした。ここは電話が通じるから連絡を取り合ってるんでした。うーん、お兄ちゃんはこの
特に否定する言い訳も見つからなかったので、とりあえずおいしい夕食をいただいて、念のため三人で見張りを交代しながら一夜を明かした。
「じゃあ、入るぞ」
次の日の朝、戒さんを先頭に摩周湖
1階層にそれほど強い魔物がいるとは思えないけど、そもそもここに
「戒さん、います。前方におそらく3体ほど。
「ふむ、この霧の中でよく気がついたな。1階層だからそれほど強い魔物はいないと思うが、慎重に行こう」
私の情報に歩みを更に遅くして、ゆっくりと魔物に近づく戒さん。ようやくその姿が確認できるところまで近づいた時に呟きが聞こえた。
「鬼か」
霧の向こうに現れたのは、三体の赤鬼。異世界の
こちらが向こうを確認したのと同じように、向こうも私達を認識したみたい。生意気にも声をかけあいながら、こちらへと向かってきた。何を言ってるかはわからないけど。
「一体任せる」
そういうが早いか、戒さんは一番近い赤鬼に切り掛かっていく。戒さんの勢いのある振り下ろしをかろうじて金棒で受け止めるが、力負けして膝をつく鬼。
その先頭の鬼をフォローしようと、後ろから来た鬼が戒さんに殴りかかっていった。
パシ!
金棒を素手で受け止める日本No.1
ブウン!
持ち上げた鬼を振り回し、膝をつく鬼に叩きつけた。
ドゴン!
鈍い音を残し倒れ込む二体の赤鬼。すかさず戒さんはトドメをさした。残りの一体は私達に任されたから、責任を持って倒さなきゃ。でも、この赤鬼の強さはそれほどでもなさそう。楓ちゃんが一人でも倒せるレベルだと思う。
私は楓ちゃんに目配せをしてから、赤鬼の前に立つ。仲間があっという間に倒されたからか、がむしゃらに突っ込んでくる赤鬼。それらの攻撃を全ていなしながら、赤鬼の体勢が崩れたところで距離を取る。
シュ
小気味よい音がして赤鬼の首が落ちた。さすが楓ちゃん。目を見ただけで私が何を考えているのかわかってくれる。
「4級にしてはありえない威力だな。それにそのロッド……ひょっとして
楓ちゃんの魔法に戒さんも感心しているみたい。そういえば楓ちゃんはちゃんと後方支援に徹してたから、戒さんが見てる前で魔法を放つのは初めてだったかな?
「はい! 今回の北海道解放作戦に参加が決まったときに、とある方にもらったんです!」
くうぅ、楓ちゃんの頬がほんのり赤くなってる。確かにお兄ちゃんにアレもらったとき、すっごい嬉しそうだったもんね。
「えっと、それってもしかしてアスカ君の刀と同じ人が……」
ああ、その話に戻ってしまいましたか。
「あっ、えっと、その……はい」
楓ちゃん、上手い言い訳思いつかなくて諦めたね!? って、私が最初にタダで作ってもらったって言ったのが悪かったのか!?
「何というか、詮索したみたいで申し訳ない。ただ、本当に
何か戒さんが申し訳なさそうに、そして切実に訴えかけてきた。これは、なかなか断りづらい。
「一応、聞いてみますね」
私はそれだけ言うのが精一杯でした。
それから2階層、3階層と降りていったんだけど、戒さん曰く低階層の割に魔物のレベルが高いみたい。もっというなら、低レベルと高レベルが入り交じってるって。こんな
まるで作りかけの
そして、5階層に到達した私達の目の前には、まるで日本のお屋敷にあるような、立派な門が現れた。
「5階層とはいえ、このダンジョンは何かがおかしい。油断するなよ」
戒さんはこの
戒さんが門を開け、みんなで中に入るとそこには……
「おや? もう人間がここに来たのか? まだボスの配置が済んでないんだがな。まあ仕方がない。オレが相手をしてやるか」
身長二メートルを超え、赤を基調とした袴のような服をだらしなく着崩している赤い肌の鬼がいて、流暢な日本語で話しかけてきた。
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「ある時から好感度がわかるようになった俺が、気になるあの子の好感度を0から100に上げるために頑張る話」
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