第109話 その頃、渋谷センターでは
海斗達のパーティーが渋谷
突如、入り口から発煙弾が投げ込まれ、発生した煙に乗じて迷彩服に黒の目出し帽を被った者達が大勢、渋谷センターになだれ込んできた。
「ゴホ、ゴホ。なんだ!?」
「誰だあいつら?」
「おい!? 銃を持ってるぞ!」
「下がれ! 下がれ!」
一瞬でパニック状態となった渋谷センター内だが、そこにはたくさんの
さらには突風スキル持ちの人物が煙を押し流し、視界を確保する。即席ではあるが、自分達の役割をよく理解している見事な連携だ。
だが侵入者達もよく訓練されていた。その素早い対応の間に、入り口を封鎖し
「火の玉よ、敵を打ち砕け。ファイアーボール!」
侵入者の一人がファイアーボールを放ったのをきっかけに、
ドゴン!
揺らめく火の玉が盾を構える
魔法や弓の撃ち合いでは分が悪いと悟ったのか、
「炎の壁よ、立ち上れ。ファイアーウォール」
待ってましたとばかりに、再度侵入者の火魔法が放たれた。勢いのままに炎に飲まれる戦士達。
「熱い! 下がれ! 下がれ!」
数名が炎に焼かれ後退を余儀なくされる。
「何事だ!」
そこに現れたのは
「くそ、上位ランクのシーカーがいない隙を狙いやがったな」
現役を引退して久しいとはいえ、格闘術と腕力強化のスキルを持つ元2級の
「うふふ、出てきましたね。あなたの相手はワタクシですわ」
数名の侵入者を殴り倒したところで、一人の女が熊田の前にスッと現れた。黒ずくめの中で唯一派手な紫色のチャイナドレスを纏った、細目の美女だ。両手には針というには長すぎる、彼女専用の武器『ロングニードル』が握られている。
「チッ。しばらく姿を見てないと思ったら、こんなところにいやがったのか。お前らアレだろ……『新人類』だよな」
熊田は自分がまだ現役だった頃、この海原と
「あら、バレてましたの? まあ、いいですわ。あなたにはここで死んで貰いますから」
海原は手に持つ針を舐め妖艶な笑みを浮かべる。その姿に熊田の背筋に冷たいものが走った。
相手は現役の暗殺者。片や引退して久しい髪が薄くなりかけたおじさん。熊田は、厳しい戦いになるだろうと思っていたが、それでも引くわけにはいかない。渋谷支部の存続をかけて、トップ同士の戦いが始まった。
「そっちの集団は毒で弱らせてるから大丈夫だと思うけど、ゲートから出てくるシーカーには注意してね。特にアイスとホットが担当してるパーティーは要注意よ。配信してるはずだから、動向は必ずチェックしておいて」
渋谷センターの占拠に成功した新人類達の指揮を執る海原凪。熊田の健闘も虚しく、トップが倒された
特に熊田は重症で、今は何とか耐えているが後数時間放っておかれたら命が危ない危機的状況だ。しかし、誰も助けることができない。
「姉さん。この後はどうするので?」
「ああ、ファイアーかい。そうだね、ここにいるシーカー達は残念だけどみんな死んで貰うよ。今回の目的の一つは協会の弱体化だからね。こんなヤツらでも成長したら厄介な敵になるかもしれないから、心配の芽は早い内に摘んでおくのよ」
開始早々ファイアーボールを放った侵入者の質問に海原が答えたことで、
しかし、毒によりどんどん身体が弱っている。ここにはポーション類を売っている店あるのだが、当然のごとく占拠されポーション類も回収されてしまっていた。支部長が倒された今、元2級の暗殺者に勝てるものはもういない。
誰もが諦めかけたその時にゲートから一組のパーティーが現れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます