第95話 とある職員の報告書③

報告書


対象

No.112014 柊 翔(男性 15歳)


人物像

両親とは死別

妹(柊 明日香)と二人暮らし

学校に通う以外はほぼひきこもり→友人のパーティーに所属

叔父夫妻が保護者となっているが息子が中心となって詐欺行為を行ったため、現在拘留中

性格は優しく妹思いなのだが、妹の稼ぎで高級マンションに引っ越すひも男?

監査当初はヨレヨレの制服にボサボサの髪で私服はださださだったからわからなかったが、実はものすごいイケメンだった。危なく自分から声をかけそうになりました。


スペック

スキルスロット 1つ?

スキル 炎操作

    土操作?

レベル 不明

ランク 10級→6級


重要度

C→A


概要

○月○日

横浜探索者シーカー試験会場で初受験

筆記試験とスロット検査(血液検査)を受ける

筆記試験は正答率10割

特別育成枠を進めるも拒否

C級監視対象として監視するも学校以外はほぼ引きこもりだった

全く活動がないので2週間後、監視対象から外される


○月○日

友人の霧島海斗のシーカー登録に付き添い渋谷探索者協会へ来る。その際、スキルオーブを生のままポケットに入れてくる。当然大騒ぎになった。


○月○日

霧島海斗が創設したパーティー『推し活』に加入。突如活動を開始したため、監視再開。


○月○日

推し活のメンバーと初ダンジョン。おそらく、登録後初ダンジョンと思われるが、とても初めてとは思えないほど戦闘慣れしている。推し活の他のメンバーもそれなりだが、全くもって格が違う。

常に余裕のある振る舞い。的確な状況判断。そして何より、ゴルフボール程度の大きさのファイアーボールで、9級の魔物を全て一撃で倒す火力。最終的に8級のグレイウルフもソフトボール大のファイアーボールで瞬殺。


○月○日

8級に昇格するため推し活のメンバーと渋谷ダンジョン6階層へ。ピンポン玉大のファイアーボールで、8級の魔物を一撃で倒していく。この大きさでも明らかにオーバーキルだと思ったのか、段々その大きさが小さくなっていき、最終的には肉眼で視認するのも難しい、米粒大のファイアーボールで10階層のボス共を翻弄し、味方を勝利へと導く。8級へと無事昇格。


○月○日

チーム推し活は1ヶ月ほどレベル上げ、ランク上げに精進し6級昇格試験を受けるにまで成長する。チームとしてはかなりのスピード出世で、最近このパーティーは『期待の新人パーティー』として名を上げている模様。


○月○日

6級の昇格試験。ちなみにチーム『推し活』の初配信。このとき、とんでもないことが多数起こったので、耳の穴かっぽじってよく聞くように。


・突如イメチェンをして登場。髪を切り、おしゃれな服装で颯爽と現れ渋谷センター中の女性シーカーを虜にする。


・できるだけ配信に映らないように行動している節が見られたのだが、突如姿を消したかと思うと、どうやったのかバトルホースに乗って現れる。もう一度言う、魔物であるバトルホースに乗って現れた。無理矢理ではなく、完全に従えているようだった。仲間に突っ込まれて、いそいそと馬から下りていたけど、一言二言話しかけて野に返していたから、完全に言うことを聞かせていたと思われる。ひょっとしたら、かつて存在するのではないかと思われ、結局見つけることができなかった『調教スキル』を持っているのではないだろうか。


・突如現れたワイバーンを米粒大のファイアーボールで撃ち落とす。相変わらず魔法の威力がおかしい。というか、今更気がついたけどファイアーボールの大きさを変えるというのも聞いたことがない。


・そして最後に、安定してボスと戦っていた推し活だが、バトルコングが足を滑らせ後方に倒れ込んだ際、不破も一緒にバランスを崩し前に倒れ込んでしまった。

 そのタイミングで放ってしまった綿貫の矢が、不破の腕に刺さり不破は盾を取り落としてしまう。

 そこに起き上がったバトルコングが渾身の一撃をお見舞いしようとしたのだが、突如、下からせり出してきたアースウォールに阻まれてしまった。大事なことなのでもう一度言う、アースウォールに阻まれてしまったのだ。

 柊は自分の関与を否定していたが、間違いなく柊の仕業だと思われる。

 その後、推し活のメンバー全員が6級への昇格を果たした。


以上のことから、監視対象『柊 翔』の重要度をAに引き上げることを提案する。

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