第91話 『北海道解放作戦③』
~side 獅子王戒~
俺達は
上手いこと気づかれずに尊の弓の射程距離に入ることができた。槍使いの翡翠も、今回は弱点属性の光魔法で先制攻撃に加わってもらう。
「
「
尊の必殺技と翡翠の魔法が同時に
だが、自ら視界を遮ったのは悪手だな。俺と翡翠は建物の陰から一気に飛び出し、
「
俺達に気がついた
「グゥゥゥゥ!」
頭上から落ちてきた大岩を受け止める
「ギャワァァァ!」
大岩を前方に投げ、俺達の攻撃を防ごうとしたようだが甘い。俺は即座に左側に回り込み、
今回も驚異的な反応で、致命傷は避けたようだがバックステップで逃げたのも悪手だったな。
「はっ!」
鋭く息を吐きながら突きだした翡翠の槍が
「グギギギギィィィ!」
だが、まだ2級である翡翠の攻撃は
大きなダメージを与えることができなかったせいで、
「オノレ、ニンゲンドモメ!」
「きゃあ!」
俺は迫り来る鞭を何とか剣で払いのけることができたが、翡翠は足を絡め取られ、放り投げられてしまった。
「双極斬!」
俺は魔法を放って隙ができた
ズシャ
しかし、それは時雨の
「チョウシニノルナァァァァ!」
度重なる攻撃に切れた
しかし、ここで止まるわけにはいかない。すぐに助けに行きたい気持ちを押し殺し、
「斬鉄剣!」
鉄をも切り裂く必殺技で、ようやく
「
戦闘を終えたところで、隠れていた
いつみても紬の治癒魔法は規格外だ。彼女のおかげで多少の無理をしながらでも魔物を倒すことができる。
その後、投げ飛ばされた翡翠の治療も終え、仁達が苦戦していた
「お疲れのところすまないが、もう一団体お客様が来てるぞ。それもかなりの上客が……」
ホッと一息ついたのもつかの間、斥候の尊が指さした先では
ってか、2級の
そんな
俺は翡翠に仁達のパーティーの加わるように指示を出し、代わりに火神をこっちに回してもらった。向こうには
それに、知能が高い相手だと、ヒーラーが最初に狙われる可能性がある。ヒーラー達には建物の陰に隠れるように、前衛には戦闘中はできるだけポーションで回復するように指示を出した。
「ヒサシブリノ人間ダナ。ココマデ来タコトハホメテヤロウ。ダガコノ先ニ何ノ用ガアルトイウノダ?」
「それを聞いてどうする? ここで倒されるお前達には関係あるまい」
こいつの性格を知るために、あえて煽ってみたのだが……
「フッ、デキモシナイコトヲ言ウモノダナ」
特にいらだつこともなく、軽く躱されてしまった。あーやだね、この手の輩は。
俺は
なるほど、あえて俺達の作戦に乗ってくれるという訳か。それほど自分達の強さに自信があるのか。だが、そう上手くはいくかな?
向こうでは、翡翠と仁が
十分距離が離れたところで、俺達は戦闘を開始した。
「
開始の合図は尊の弓スキル
「ムッ」
一度は躱したはずの矢が弧を描いて戻ってきたことで、
「
バァァァァン!
黒い槍を横に一閃するだけで、水球がはじけ飛んだ。やはり、魔法には高い耐性を持っているようだ。であれば、接近戦で勝負するしかない。
俺は地面を強く踏み込み、一足飛びで間合いを詰める。
「斬鉄斬!」
俺は先ほど
ブシュ
俺の剣先が
これはかなりの長期戦になりそうだ。その間、こちらはひとつのミスも許されない。なかなかしんどい戦いになるぞ。
俺は厳しい戦いになると予想しながらも、表情は変えずに攻撃を繋いでいく。チラッと目に入った向こうのパーティーは案の定苦戦しているようだった。だがもうしばらく耐えてくれ。こっちもギリギリの戦いなのだ。
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