第11話

私立中学校の受験は年が明けて早ければ2月遅くとも3月には終了している。年が明けてすぐ早々に合格が決まっている子もいれば、なかなか合格がもらえず3月の終わりまで頑張っていなければならない子もいる。

「3月だな。子供たちと一緒に3月に俺も辞めるとしよう。3月からは皆バラバラにそれぞれの新しい場所で生きていくことにしよう。」

新しい塾を開くための店舗の契約もやっぱり3月だな。今入っている店舗も3月までには更新をするのか出て行くのかがはっきりするだろうそのタイミングで新しい塾を借りるとしよう。

ちょっと待てよとYは今思った。3月では遅すぎるなぁ。1月か2月までには借り契約ぐらいは済ませておくべきだなとYは思った。

「麻美」

「なぁに?」

「店舗の契約って2月までには済ませていた方がいいだろう?」

「それはそうよ3月になってからじゃ、めぼしいところは契約が終わってるわ。」

「そうだよなぁ。」

「やっぱり藤が丘がいいの?」

「駅に近いし塾に通いそうな子供たちのことを考えても藤が丘なら小学校に通っている子供達の人数も多いし一番いいと思うんだ。」

「藤が丘のことなら私だいたい知ってるわよ。前に自分でもやろうと思って、色々探したことがあるから。」

これ見てと麻美は茶封筒に入った資料をいくつか見せてくれた。

「なんだよこんなのがあれば不動産屋を回る必要もないな。」

「でしょう。私ってできる女なの。」

「おみそれしました、麻美さま。」

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