第41話 達也殺害!




 ある部屋の一室の鍵を””カチャッ””と掛けて紐を持ち入って来た2人組。


「ナッ何しに入って来た?」


 その殺気立った表情に何か胸騒ぎを感じた達也は、足をすくめ恐々椅子から立ち上がり後ろに後退した。


「仕方ありません。命令ですから!死んでもらいます」


「ヤッヤ止めてクレ————!俺がお前たちに何をしたと言うのだ、タッタタ助けてくれ————!」


 鍵の掛った部屋を逃げ惑う達也、それを部屋の隅まで追い詰める2人組、そしてとうとう追い詰められた達也は、羽交い絞めにされ行き場を失った。


「ギャギャ————!タタタタ助けてくれ————!」


 その後、この2人組は首を絞め殺して水酸化ナトリウムなどで遺体を溶かし、海に流した。


「デカシタゾ~!良くやってくれた!ワッハッハ~!ワッハッハ————!」


 誰が誰に言っているのか?


 異常な精神状態の達也の死は誰一人としてその死を悼むことなく、まるで厄介なゴミくずでも捨てるように闇に葬られた。


 哀れな達也。

 最初からこんなきちがいじみた男ではなかった筈。


 無念の死を遂げた達也享年59歳。


 ******


 弥生は何故こんなきちがいじみた達也と添い遂げたのか?

 達也が亡くなる3~4年前には、いつでも離婚出来た筈。


 それは達也の受け継いだ資産価値5億円の豪邸が、達也名義で父勇から生前贈与されていたからなのだろうか……?やはり父勇も、いくら甥っ子と言えども陽介には、びた一文譲りたくない。当然双極性障害の達也の行く末を心配して、実子の達也にだけ渡るように生前贈与が行われていた。


 また、母咲子の資産、軽井沢の別荘も当然の事ながら可愛い息子達也の将来を案じて、最近生前贈与されていたのだった。


 その総資産をみすみす失う必要は無いだろう。


(その他諸々で7億円近い資産をどんな事をしても我が手に?)

 

 でも税金が半端ないのでは?そうなのだ。固定資産税+警備費等=200万円~300万円。年間諸経費をどう軽く見積もっても300万は下らない。


 それはそうだが、何と言っても世田谷の一等地に豪邸所有の資産家、不動産売却や不動産投資賃貸経営等が出来る。


 また、軽井沢の別荘も昨今のDIYブーム等により、少し手を加えて売り飛ばすなり何なり出来るのだ。その為にも何が何でも離婚だけは避けたかった…?


 更には総合病院が相当な桁違いの額になる。まぁそれは、娘樹里亜が当然の如く受け継ぐ事にはなるが……。

 


 実は…秘密裏に達也殺害に動いている人物を弥生は知っていた。でも弥生はそんな酷い女では絶対無い筈。


 誰かに操られているのか?


 それとも弥生自ら達也の財産目当てに、殺害の片棒を担いでいるのか?


 それとも弥生本人が邪魔な手の掛かる、どうしようもない達也を財産目当てに殺害したのか?


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