第42話 樹里亜殺害を企てた張本人は一体誰なのか!達也?
『それでは順序立てて話を進めて行きましょう』
2007年6月土砂降りの雨の中、学校帰りに右折してきた車にぶつかり、大切な一人娘樹里亜は昏睡状態に陥った。
やっと授かった一人娘が昏睡状態に陥り、達也と妻弥生は不幸のどん底に突き落とされた。
だが……この事故には、思わぬ策略が隠されていた。
1998年9月中旬
爽やかな秋風が心地よい季節となり⋆*⋆*
秋空にいわし雲が浮かんで……夕焼け空に赤トンボが群れをなして飛んでいる。
そんな麗らかな日に待望の樹里亜が誕生した。
喜んでいたのも束の間、病院では達也の子ではないとの噂で持ち切り。
怒り心頭の達也は早速DNA鑑定を法科学鑑定研究所に依頼した。
その結果99,9999978パ-セントの確率で達也の子であると断定された。
それなのに何故、陽介の子供だと言う封書が届いたのか?
それはこういう事だ。
子供の授からない直系の息子達也に業を煮やした元理事長勇は(もし、これで達也に子供が出来なかったら頼れるのは陽介の息子遥斗だけ)
それなのに、唯一の跡継ぎとなる遥斗の親権をあっさり貴理子に取られてしまい、貴理子に好意的ではない元理事長勇。
(もしこの先、達也に子供が生まれなかったら、この貴理子に遥斗を盾に病院を乗っ取られるかもしれない。陽介も自分の血を分けた息子遥斗を病院の跡継ぎにと、それを一番望むに決まっている。それだけは何としても阻止したい。そんな事になったら、私と妻咲子が他界した後、息子の達也が窮地に追いやられる事は火を見るより明らか。可愛い息子を何とかして守りたい。その為には貴理子を、この病院から追い出したい!私も癌が再発して理事長を降りたばかり、生きている内に貴理子を何としてもこの病院から追い出したい!)
一方の貴理子は、自分に強く当たり散らす勇が許せない。
その挙句、可愛い孫までも、何が何でも追い出そうとする勇が憎くて仕方がない。
いくら妹の孫遥斗と言っても、いざとなれば自分の子達也や孫樹里亜が絶対的に大切なのだ。
余りにも強く当たるので切羽詰まった貴理子は、我慢の限界を超え恨みが頂点に達した。
(達也可愛さに、この病院から追い出されそうになっている。あんな直ぐに切れる、きちがい同然の達也なんかどうにでもなれ。いっその事死んで欲しい!)そしてあの封書を送還した。
『樹里亜ちゃんは達也の子供では無い。陽介と弥生の子供です』
検体すり替えも試みたのだが、何と言っても達也には医学界の重鎮勇が付いている。そんな事などアッと言う間に見透かされてしまうだろう。ましてや、遥斗の将来が絶たれては身も蓋もない。
だから…樹里亜は達也の正真正銘の娘なのだ。
勇も自分の孫だと確信していたからこそ、余名幾ばくも無い身体で、命の灯が燃え尽きるまで可愛い孫の回復に尽力できた。
そして心血注いで無事に息を吹き返した樹里亜を見て、思い残すことなくこの世を去った。達也も父から聞かされていたので、樹里亜を我が子だと確信していたが、精神的に弱い性格の為に、疑心暗鬼が続いて狂った行動を起こしてしまったのだろう。
ましてや樹里亜ちゃんがあまりにも綺麗で、陽介にも何処となく似ているのが災いしたのだ。
今となっては後の祭りだが……。
気の弱い達也は、どす黒い陰謀の渦に巻き込まれて最後には自滅した。
だから…まかり間違っても樹里亜の殺害未遂に手を貸したのは、達也では無いという事なのだ。
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